JBCが山中戦で体重超過のネリに1年間の日本への招聘禁止処分
今回の計量失格を問題視したJBCの安河内事務局長は、「体重制度で行われている競技において、このような事態が起きることは危険ですし、ボクシングの存続さえ危ぶまれる大問題です。計量失格を抑止するルールを作るべきです。それには4団体の協調が必要です。今後、JBCとして4団体に対して統一ルール作りを働きかけていきたい」と明言した。 “第二のネリ”を出さないためには、主要4団体が足並みを揃えないことには意味がない。 たとえ、今回、WBCがネリに出場停止やランキング除外のペナルティを科しても、WBA、IBF、WB0の3団体に対しての効力はなく、ネリが他団体のベルトへ照準を変えれば、簡単に世界再挑戦できることになる。ネリにとっては痛くも痒くもない。 現在、主要4団体で、計量失格問題に対策を立てているのは、WBAとIBFの2団体だけ。WBAは罰金の徴収、IBFは、当日計量を義務づけて、試合が危険な状態となる大きな体重差にならないように抑止策を作っている。だが、WBC、WBOには特段規定はない。またファイトマネーの支払いについては、プロモーター同士の話し合いになる。 これにはテレビ中継、興行というビジネスの問題が大きく絡んでいる。 海外の選手は、計量失格に大幅の減額条件をつけておくと、「それなら帰る」と、試合を簡単にキャンセルされてしまう危険性があるのだ。莫大な放映料を支払って、放送枠を確保しているテレビ局にしては、それは避けたいし、興行側も、保険の掛け金が高額であることから興行保険をかけていないケースが多く、試合を中止した場合の損害を回収できず、計量失格選手に対して強気に出れないという側面もある。 JBCの安河内事務局長は、「抑止力として有効なのは出場停止、ランキング除外と、高額な罰金、或いは、ファイトマネーの没収でしょう。ただ繰り返しますが、これを4団体が協調して一緒にルール化しないと効力はありません。また国内での計量資格問題、またドーピング問題で取り組まねばならない問題が多くあります。そのあたりも含めて議論を進めていきたいと考えています」と、真剣に、これらの問題に取り組んでいく姿勢を明らかにした。 ローカルコミッションでは、計量失格による事故が起き、管理責任を問われて訴訟を行われたBBBofC(英国ボクシング管理委員会)が厳格な規定を作っているケースもあるが、“計量オーバーのやり得”のような傾向に、歯止めを止めるルール作りをしなければ、選手の健康管理問題だけでなく、ボクシングファンの信頼を失うことにもなりかねない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)