え…ウソでしょ?相続人の母と伯母を飛び越えて〈95歳祖母〉から生前贈与を受けることになった〈33歳孫〉。最後の最後に気づいた「まさかの落とし穴」に家族総出で真っ青になったワケ【相続の専門家が解説】
二次相続対策が進まなかった理由
祖母は元気で、自宅で生活できているとはいえ、90歳を過ぎていて、いつ、相続になるかわかりません。母親と叔母は70代。2人とも専業主婦でしたので、財産にはこだわりがなく、それだけに祖母の二次相続についてもいくつか提案をしてきました。 ところが、本人は90代に突入。祖父はアパートを建てたり、駐車場にしたりして、多少なりとも節税対策に取り組んできましたが、祖母は、祖父の財産を引き継いだままで、高齢になるとなおさら現状維持となりました。祖母の代わりに母親と叔母が祖母の背中を押さないといけなかったのですが、2人とも財産のことには関心がないのが本音のようで、結果、何もしなかったといいます。
孫が節税対策の窓口になる
ある日、香菜さんから連絡がありました。「祖母が体調を崩し、入院することになった」といいます。医者からは高齢なので万が一のこともあるかもしれないと言われてしまい、母親と叔母が慌てて相続のことを考えないといけないが、自分たちではわからないので香菜さんにやってもらいたいと話があったのです。叔母は結婚していますが子どもがいないため、孫は香菜さんと妹の2人です。 香菜さんはFPを持つ保険会社の社員ですので、数字には強く、相続の全体像も知識として持っています。結婚して実家住まいで、祖母にも毎日のように会っていますし、子どもの頃から自分の家のように出入りしてきた祖父母の家には愛着があり、祖母や母親、叔母には安心してもらいたいという気持ちから、祖母の生前対策の窓口になろうと思ったと言います。
子どもは飛ばして孫が相続?
祖母、母親、叔母、香菜さん、妹の計5人で話し合いをしたところ、全員の総意で祖母の家は香菜さんに継いでもらいたいとなり、香菜さんも自分が担当すると方向性の合意はできました。そして、母親も叔母も、祖父の時にアパートや駐車場や預金を相続していたため「これ以上はいらない」と主張。香菜さんと妹で祖母の家を引き受けてほしいということでした。 そこで、香菜さん家族は、祖母の相続人である長女(母親)と次女(叔母)に相続放棄をしてもらい、香菜さんと妹が祖母の相続人になって手続きを進めたいというのです。
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