4季連続の甲子園 「真面目」な二松学舎大付、経験を力に センバツ出場校紹介
2年連続7回目出場の二松学舎大付(東京)は、2021年夏から4季連続の甲子園出場となる。聖地の土を踏んだ選手が多く残り、経験を力にしてセンバツ切符をつかんだ。
都大会、7試合で二桁安打
昨秋の都大会ではチーム打率が3割7分2厘と打線が活発だった。世田谷学園との準々決勝で14安打、帝京との準決勝で13安打など、8試合中7試合で二桁安打を放ち、高い攻撃力を誇った。東海大菅生との決勝では敗れたが、10安打と能力の高さを示した。
元気の良さが売りだった旧チームの上級生と比較すると、真面目さが際立つという。市原勝人監督は「責任感の強さをどう生かすか」をポイントに挙げる。「ポテンシャルは去年よりも上。楽しく、力を発揮できるように持っていきたい」と話す。 打線で存在感を見せたのは、昨夏の甲子園でも本塁打を放った4番の片井海斗(1年)。3本塁打を含む13安打で打線を引っ張った。片井、毛利拓真(2年)、神谷虎之介(1年)ら打率が4割超の打者は多く、8試合で96安打を放ち、67得点をあげた。打線は下位まで切れ目がない。
投手陣は継投で
投手陣は継投が軸。準々決勝以降は、大矢青葉(2年)が先発し、エース右腕の重川創思(同)が継投した。特に重川は予選から6試合に登板し、自責点4と活躍し、準優勝の立役者となった。
重川は最速137キロの直球にスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜ、制球力で勝負するタイプ。冬場は通常よりも長い距離のブルペンで投げ込み、球の強さと球速のアップに取り組んできた。4人きょうだいで長兄の恵詩さんは社会人・東海理化の投手、次兄の友志さんは昨夏、浜田(島根)で甲子園に出場した。恵詩さんからは投球フォームなどの助言を受けることもあるという。 昨夏の甲子園は大阪桐蔭を相手に食い下がったが3回戦で敗れた。捕手で主将の押切康太郎(2年)は「『諦めずに最後までやり抜くこと』を学んだ。どんな相手でも、思い込みをなしにしないと駄目。一戦一戦を丁寧に勝ち上がりたい」と力を込める。
OBにカブスの鈴木誠也選手ら
1948年開設の私立校。原点は1877(明治10)年創立の漢学塾二松学舎で、文豪の夏目漱石や元首相の犬養毅、柔道の講道館創設者・嘉納治五郎らを輩出した。 「東洋の文化を学ぶことこそが、我が国本来の姿を知りうることになる」と唱えた創立者・三島中洲の教えを守り、「温故知新」「知行合一」を基調とした教育理念を掲げる。特進、理系、進学、体育の4コース制。生徒数は697人(昨年12月1日現在)。 野球部は1958年創部。現在、部員は40人。甲子園は春夏通算で11回出場。センバツは82年の準優勝が最高成績。OBに元千葉ロッテの初芝清氏、米大リーグ・カブスの鈴木誠也、千葉ロッテの秋山正雲ら。