<甲子園交流試合・2020センバツ32校>評判上々、白スパイク 暑さ対策で解禁
10日に開幕した2020年甲子園高校野球交流試合で、白色のスパイクシューズを使用する高校が登場し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を中心に注目を集めている。これまで黒一色だった高校球児の足元。なぜ、変化が起こったのか。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 「白スパイクだと暑さを感じない。夏でも集中してできる」。第1日(10日)の第2試合で逆転サヨナラ勝ちした明徳義塾(高知)の奥野翔琉中堅手(3年)が効果を口にした。第3日(12日)の第1試合に登場した智弁学園(奈良)の小坂将商監督も「独自大会は黒色スパイクで熱中症が出た。これから白のスパイクで行った方が対応できる」と語る。SNS上でも「炎天下の黒スパイク、本当に暑かったから」「真新しくさわやか」などの反応が見られた。 ◇米国伝来の黒? 日本高校野球連盟はスパイクについて、メーカーの商標の大きさなど細かく規定し、色もこれまでは黒しか認めていなかった。その理由は定かではないが、関係者によると「米国から野球が伝わった時に黒だった」「昔は染色技術が未発達で、黒しかできなかった」など諸説があるという。 しかし、近年は夏の酷暑が続き、夏の甲子園でも試合途中に脱水症状を訴えたり、足がつったりする選手が増えつつあった。そこで、日本高野連は熱中症対策として、黒より温度が上がりにくいとされる白色のスパイクを認めた。スポーツメーカー大手のミズノの調査では、炎天下でスパイクの内部温度、表面温度の変化を検証したところ、黒に比べて白のスパイクは内部温度が約10度、表面温度が約20度も低い結果が出たという。 白色は今年3月から解禁されたが、今春の選抜大会と今夏の選手権大会は新型コロナウイルスの影響で中止。甲子園での初登場がセンバツ交流試合になり、明徳義塾を皮切りに、第3日までに登場した14校のうち半数の7校が使用していた。第2日(11日)の第2試合、創成館(長崎)と平田(島根)は両チームとも白スパイクを履き、「白白」対決も実現。今後出場する高校では、智弁和歌山や大阪桐蔭も独自大会で白スパイクを使用しており、交流試合でも使う予定という。 ◇足が速く見える? 暑さを軽減する以外の「理由」を挙げる声もある。創成館の稙田龍生監督は「足が速く見えると思った」と白を使用した狙いを明かす。思惑通り、平田との試合ではチームで計4盗塁をマークして勝利した。また、ミズノ広報の林勇也さん(51)は「最近の球児は非常におしゃれ。ユニホームも(鍛え上げた体を強調するために)ピチピチにしたりする。着こなしのトレンドとして白も話題になっている」と指摘する。新型コロナで部活動や大会がストップした影響があり、林さんは「販売比率は、まだ9対1で黒が多い」としつつも、「甲子園が始まって反響があるので、今後は白スパイクの需要が増えるだろう」と推測している。 選手の足元を巡っては、陸上長距離で米スポーツ用品大手ナイキの「厚底シューズ」がクッション性や反発力、軽さを兼ね備え、好記録続出やピンクなど派手さもあって話題を呼んだ。【新井隆一、藤田健志、安田光高】