【谷繁元信】大谷翔平、右投げ千賀滉大から左投げ投手に代わり修正 初戦で復調きっかけは大きい
<ナ・リーグ優勝決定シリーズ:ドジャース9-0メッツ>◇第1戦◇13日(日本時間14日)◇ドジャースタジアム 大谷は打席を重ねるにつれ、良くなった。初回の二ゴロは、フォーシームでも動く千賀のボールをこねてしまった。2回は千賀のカットボールを右前に運んだ。結果はヒットだが、まだこねていた。たまたま一、二塁間を抜けたと言っていい。内容が伴ったのは、第3打席からだ。4回はピーターソンから右翼フェンス直撃打。6回はヤングから中飛。アウトにはなったが、フェンスぎりぎりまで飛ばすいい当たりだった。 修正できたのは、右投げの千賀からピーターソン、ヤングと左投げに代わったことがあると思う。一般的に左対左なら投手有利と思われがちだが、必ずしもそうではない。左バッターからすると、右ピッチャーの球筋は食い込んでくるため、状態が良くないと右肩を開いて打ちにいきがちだ。左ピッチャーは反対に逃げていく軌道となる。右肩の開きが早いとバットが届かないので、当然ながら打てない。そのため、左バッターは左ピッチャーと対戦するときは、右肩の開きを抑えようという意識を持ちやすい。開きを抑えることでバットをピッチャー側に放り出す、いい軌道のスイングができるようになる。 ポストシーズンの大谷は、ここまで調子は良くなかったと思う。パドレスとの第1戦で3ランを放ったが、直後の打席は完全に詰まらされた。中前に落ちるヒットにはなったが、バットを折られた。珍しい光景で、あのあたりから形を崩し始めた。続く第2戦でダルビッシュに投げるタイミングや軌道を変えられ、さらに崩されてしまった。以降、ヒットは引っ張った当たりで、逆方向はポップフライ。そのまま、今シリーズを迎えたようにみえる。 だからこそ、初戦で状態を戻すきっかけをつかめたことは大きい。第3打席は本当に調子が良ければスタンドに入っていたと思うが、左ピッチャー相手にいいバッティングを重ねた。それだけに、8回の第5打席で右ピッチャー相手にどういうバッティングをするか期待して見ていた。ストレートの四球は残念だった。ただ、第2戦のメッツ先発は左のマナイア。いい感じで試合に入れるだろう。 一方の千賀は、こんなに悪い投球を見た記憶がない。リリースでボールをたたくのではなく、こねていた。メジャーでは登板経験がなかったドジャースタジアムのマウンドが合わなかったのか。ポストシーズンの雰囲気にアジャストできなかったのか。原因はわからないが、良くない状態と重なったのだろう。今季レギュラーシーズンは1試合しか投げておらず、復調できると判断する材料も限られる。次も登板させるか、首脳陣は難しい判断を迫られる。(日刊スポーツ評論家)