「武器輸出三原則」を変えたらどんな影響が出る?
考えられるデメリットは
一方、もちろんデメリットもあります。一番大きいのは、日本が共同開発した武器が実際に戦場で使われるおそれがあるということです。これまでの武器輸出三原則では「国際紛争の当事国」への武器輸出を禁止していましたが、新たな三原則案では基準が大幅に緩和されていて、これらの国への輸出も認められています。日本はすでに最新鋭戦闘機「F35」の共同開発に参加することが決まっていて、こうした武器が紛争の当事国などに輸出された場合、他国の人々を殺傷する可能性もあるのです。 かつて日本には、1929年の世界恐慌後の不況などから軍事産業を強化した時代があり、それも大きな戦争へとつながっていった一因ともいわれます。産業の成長や技術のノウハウという面では大きなメリットのある武器輸出ですが、鉄鋼・金属・機械などの重工業が武器開発に傾いていくのは過去にもあったことなのです。
武器輸出三原則を変えるのは、日本の重工業などの技術を進歩させ、コスト削減につながる一方、戦争を助長して人を殺害することにもつながるという見方もできるわけです。新たな三原則はその歯止めをどうかけるのか、武器輸出三原則を見直す必要があるのかどうか、さまざまな視点から議論する必要があるのかもしれません。 (真屋キヨシ/清談社)