能登半島1000ヘクタール超で田植え困難 本紙調査 農業用水確保できず
奥能登地域では「難しい」4割弱
能登半島地震を巡り、石川県・能登半島地域で今年の米の作付けが困難な水田が1000ヘクタールを超える見通しであることが分かった。水路やため池の損傷で農業用水を確保できなくなったことなどが要因だ。能登半島の基幹作物である米の生産現場が受けた被害の大きさが改めて浮き彫りとなった。 【画像】地震で外れて傾いた水田の給水管 日本農業新聞が1日、同地域にあるJAや自治体に対し、今年の米の作付け見通しを聞き取った。被害の全容が分からない上、多めに見積もっている事例もあり、今後増減する可能性はある。 作付け困難な水田面積が最も大きかったのはJAのと。甚大な被害が出た半島北部の奥能登地域に位置する。管内の米の作付面積2600ヘクタールのうち、4割弱に当たる1000ヘクタール前後で作付けが難しい恐れがあるとした。 次いで面積が大きいのは、液状化被害が深刻な河北潟干拓地を抱えるJA石川かほくで、約100ヘクタールで作付け困難とした。その他JAでも、それぞれ数ヘクタールから数十ヘクタールで作付けが難しいと回答した。
水路、ため池、農地が損傷
作付けが難しいのは、水路やため池の損傷で農業用水を確保できなくなったことや、土砂の流入や液状化、水漏れなどで農地が使えなくなったことが要因だ。 特に被害が大きいJAのとでは、自宅や農機が壊れるなどし、営農を続けられる状態にない農家が少なくないこともあり、「管内の水田の5、6割を作付けできれば御の字だ」(営農部)と展望する。JA石川かほくでは「余震の影響で今も被害が増えている」(営農部)という。 農水省によると、能登半島地域の水田面積は1万7200ヘクタール。非主食用も含む米(飼料用や発酵粗飼料=WCS用は除く)の作付面積は1万1300ヘクタールで、単純計算で今回の作付け困難な水田は、その1割程度に当たる。(北坂公紀)
日本農業新聞