『君の名は。』中国で大ヒットでも、日本の配給会社にメリットなしは本当?
中国の映画、アニメファンからも同情の声が……
そうした中、中国国内ではネットユーザーによる「光線伝媒は笑いが止まらないだろう」や「新海誠監督の作品で(2000万元)は安い」といったコメントがインターネット上で見受けられているという。日本のファンからすると複雑な思いを抱くかもしれないが、前出の映画配給会社スタッフはいう。 「シビアな話ですが、中国での海外作品のレベニューでの公開は、ハリウッドの大作で占められてしまうというのが現実。そうした中、中国でそれほど実績や知名度の高くなかった日本の監督のアニメーション作品が、買い取りとはいえ公開できただけマシという意見もある。さらに言えば、『君の名は。』は約7000スクリーンという大規模での公開に踏み切っていること、日本公開からそれほど時間を空けずに中国で公開されたこと、この2つを実現させた『光線伝媒』の先見の明を賞賛する意見もあります」
中国で大規模公開できたこと自体に価値がある
そもそも、中国で日本映画を公開すること自体が高いハードルになっている現状。 こうした日本の映画業界内の意見は、「ドラえもん」のような世界的な知名度を誇る、実績ある人気シリーズというわけでもなく、以前から一部アニメファンには絶大なる支持を得ていたものの、これほどまでの大規模公開の実績がなかった新海監督の作品を、中国の映画市場で大々的に公開できたこと自体に価値があるという見方なのだろう。 そして、今回の「君の名は。」の実績によって中国の配給サイドが「日本のアニメは確実にお金になる」という認識を持てば、これまでハリウッド作品で固められていたレベニュー方式での公開に、日本の作品が食い込める可能性も出てくる。 そうした意味でも、「君の名は。」の中国でのヒットは、日本映画界にとっては非常に大きな出来事であるといえるだろう。 (JAPAN芸能カルチャー研究所)