コンドームを1000個爆買い、購入前の商品開封、店内でYouTube撮影…秋葉原「エロタワー」がインバウンドで大変なことに「客の5割以上が外国人観光客、土日は満員電車なみに混雑」
ニッポンの2024年問題#8
コロナ禍の落ち着きとともにインバウンドが回復し、騒音やゴミのポイ捨て、交通機関の混乱など、いわゆるオーバーツーリズムが問題視されている。こうした訪日客の弊害は、京都や鎌倉といった観光エリアのみならず、アダルト業界にも波及している。通称「エロタワー」として知られ、アダルトグッズ専門店のメッカである「大人のデパート エムズ 秋葉原店」では、いま来店客の5割以上がインバウンドだという。売上好調な反面、店内はさまざまなトラブルに巻き込まれ、スタッフは常連客離れを危惧している。 【写真】 インバウンドから絶大な人気を誇る日本ならではのコスチューム
売上の4割弱、来店客の5割以上がインバウンド
JR秋葉原駅から徒歩1分、通称「エロタワー」として知られ、7フロアにわたりアダルトグッズを展開する「大人のデパート エムズ 秋葉原店」(以下、エムズ)。国内最大級のアダルトグッズ専門店として知られるエムズ秋葉原店だが、2022年秋の渡航解除から訪日客が急増している。 「現在、購買数の3割強、売上の4割弱、来店客の5割以上は、インバウンドです」 そう語るのは、店長の新家武志さんだ。アダルトショップといえば、中年男性が1人でこそこそ来店する……といった暗いイメージもあるが、現在はガラッと客層や雰囲気が変化しているという。 「もともと当店は2001年創業で、当時は中年男性の1人客が圧倒的に多かった。それが2010年頃から、家電製品を求めて秋葉原を訪れた中国人観光客が来店し、それ以降海外のメディアやYouTuberに取り上げてもらうようになり、インバウンドが増加。中国以外でもアメリカやヨーロッパ、アジア諸国の訪日客が目立つようになり、アフターコロナのいま、全盛期を迎えています」 現在は、中国、アメリカ、韓国、タイなどを中心に、人種のるつぼ状態となっているエムズ秋葉原店。インバウンドが増えた2010年頃から比べると、現在は年間売上も2倍近くに膨らんだものの、店側としては素直に喜べない事情があるようだ。
噛み終わったガムを床にポイ捨て
「インバウンドの方が、店内で飲食をしてゴミを廃棄したり、ドリンクを飲んでいたら他の客とぶつかってこぼしてしまうことがあります。床には噛んだ後のガムがへばりついていたりと、他の国内の方が困惑するのではと危惧しています。 それから会計前の商品を開封したり、店内のコンセントでスマホの充電をされたり、階段で休憩している方も。海外では普通のことかもしれませんが、そのつどお声掛けや店内放送などで注意喚起をしています」 そもそも商材がアダルトグッズなだけに、来店客からすれば周りの視線も気になるだろうし、ささっと購入したいはず。そうしたなか海外の団体客が狭い店内で立ち往生されたら、より一層居心地の悪さを感じるだろう。 「免税の対応でレジの並ぶ待ち時間が増えてしまうと、どうしても日本人の方にとっては買いにづらくなります。特に土日などのピークタイムは満員電車のように混雑してしまい、『店内でゆっくり商品を見れない』といったクレームも入ります。 あと店内は撮影禁止ですが、物珍しさに撮影していたり、なかには女性客を盗撮する人もおり、一定数マナーを守っていただけない方がいます」 1フロアの一角にはインポートグッズを取り揃えたコーナーや、海外から人気だという巫女のコスチュームが飾られている光景もあリ、海外の人にすればもはや観光スポットに近い感覚なのだろう。