ファミリアバンロータリーあらわる!!! “昭和のロマン”とも言うべき驚異のジャジャ馬マシンが凄い!!!
2024年1月12日から開催された「東京オートサロン2024」(千葉県・幕張メッセ)に出展したRE雨宮が手掛けたマツダの「ファミリアバン」に注目! ロータリーエンジンに換装されて貴重な1台に大谷達也が迫る! 【写真を見る】特別なファミリアバンロータリーの内外装をチェック!!!
かなりのジャジャ馬
懐かしいクルマが東京オートサロンの会場に展示されていた。1978年に発売されたマツダの4代目ファミリアバンである。 もっとも、ただ懐かしいだけなら、会場の一等地にこのクルマが置かれることはなかったかもしれない。しかし、うやうやしく開かれたボンネットのなかを覗き込めば、40年以上前に作られたファミリアバンが、ここに展示されている理由が理解できるはずだ。 なんと、ファミリアバンのフロントに積まれていたのは、マツダの「13B」と呼ばれるロータリーエンジン。しかも、ロータリーエンジンのチューニングにかけては並ぶ者がいないRE雨宮の手でチューニングが施されているのだ。具体的には「4mmブリッヂ仕様」と呼ばれる仕様で、ポート径を拡大して充填効率を高め、最高出力を210psまでパワーアップしたという。 そのほかにもRE雨宮製特注オイルクーラー、RE雨宮仕様のFD3S用ラジエター、Racing Beatインテークマニフォールド、ウェーバー製45φキャブレターなどを装着しているそうだ。 パワートレインをこれだけチューニングしているのだから、サスペンションもそれなりに手が入っているのだろうと思って担当者に質問したところ、「フロントはスプリングやダンパーを換えてありますが、リヤサスペンションはリーフリジッド式なので手のくわえようがなく、オリジナルのままです」との答えが返ってきた。しかも、ボディはバンだから、荷物を積まない限り後輪荷重はなきに等しく、したがってまともなリヤグリップは期待できないはず。 いっぽう、この世代までのファミリアは後輪駆動なので、エンジンパワーはすべて後輪に伝えられる。となると、ハンドリングはかなりのジャジャ馬で、アクセルペダルを踏めばいたるところリヤタイヤが滑り出すことが予想される。 これについてもRE雨宮の担当者に確認したところ、「ええ、かなりのジャジャ馬だと思いますよ」との答えが返ってきた。 そんな弱点を承知のうえで、あえて(いい意味で!)こんなクルマを作り上げてしまうあたりは、やはり“昭和のロマン”と呼ぶべきか。 ちなみにRE雨宮では、ベースモデルが新車で販売されていた当時を含め、3代目ファミリアバンにロータリーエンジンを積んだチューニングカーをこれまで何台か製作してきたとか。ただし、近年は程度のいいベース車両がなかなか見つからないため、作りたくても作れない状況という。 なお、RE雨宮が作業を担当したのはパワートレインまわりだけで、ボディなどのレストアはRE雨宮と縁の深い郷田板金で実施された。ちなみに、作業工賃はおおよそ400万円くらいとのこと。程度のいいファミリアバンさえ見つかれば、自分も作ってみたいと思うファンは意外と少なくないような気がする。
文・大谷達也 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)