今も体に染みつく日本野球の思想「常に変わらない」 31歳・豪州代表が貫く「伝説の選手」の教え
豪州代表のダリル・ジョージはBC新潟とオリックスでプレー
野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」に出場する日本代表「侍ジャパン」は13日、名古屋市のバンテリンドームで初戦を迎える。相手の豪州には日本通の選手も多い。31歳のベテランになったダリル・ジョージ内野手は、2015年から2年間、独立リーグのBC新潟でプレーし、その後オリックスの育成選手にもなった。いまだ忘れ得ぬ日本。その中でも感謝している「伝説の選手」がいる。 【動画】「日本の観客はクレイジーだ」 豪州代表が日本野球の応援に衝撃を受けた実際の映像 「え? 引退したの? 今年? まさにレジェンドだよね……」 ジョージが現役引退を知って、驚きの顔を浮かべた選手がいる。今季からNPBの2軍イースタン・リーグに参加しているオイシックスの稲葉大樹内野手だ。2007年から18年間、このチーム一筋にプレーし、独立リーグで驚きの通算958安打。今季、40歳を迎えるシーズンにNPBファームでのデビューを飾った異色の経歴を持つ。 ジョージが新潟に在籍した2年間は、コーチも兼任していた。それでも2016年には53試合で打率.374を残す圧倒的な存在だった。あそこまでやれても、NPBには行けないのかと、日本野球の層の厚さ、奥深さを感じさせてくれる存在だった。 ただ、稲葉との思い出は湿っぽいものとは無縁だという。「とにかくいつも笑っていたね。練習の時もいつもジョークを交わして楽しかった。本当にいい人だったよ」。一方で、野球を続けていく上でとても大切なことも教わった。 「一貫性だよ。彼は常に変わらないんだ」。こうと決めたことは貫くこと、感情による浮き沈みを作らないこと。2017年限りでオリックスを退団してからも、豪州リーグで野球を続けるジョージには、日本野球の思想が今も染み付いている。 豪州代表は、この大会に先立って東京都府中市で事前合宿を行なった。選手はコンビニエンスストアやラーメン店に通い、日本文化に触れた。ジョージにとっては、今も懐かしいかつての日常だ。「セブンイレブンとローソンにばっかり行ってたよ。ショッチュウ」。日本語は「ムズカシイネ」とこぼすが、今も忘れてはいない。日本で過ごした日々の感謝を胸に、名古屋のグラウンドに立つ。
THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori