トランプ「不倫口止め料裁判」がバイデン民主党陣営による「魔女狩り」だと言うしかないこれだけの理由
バイデン側の試みは失敗したのか
裁判の過程においても、トランプ側に有利な証言を行う証人の発言を証拠採用しないとか、そもそも発言自体を邪魔するといったことが繰り返された。 例えば、連邦選挙委員会の委員で連邦選挙法の専門家であるブラッド・スミスは、証人として呼ばれながらも、今回のトランプのケースについての連邦選挙法においてどう捉えるべきかについて証言することを、マーチャン判事によって事前に禁止された。そのために証人として発言する意味がないとして、証人として出席することが取りやめになった。 証人として証言ができなくなったスミスは、全部で11個の連続投稿をX上に行った。そしてその6番目の投稿には、次のようにある。 「では報告期限のことについて語ろう。口止め料の支払いが報告を要する選挙キャンペーンの支払いだったと彼らが考えたとしても、支払いは10月27日になされており、その支払は法に従えば、12月8日まで報告しなくていいことになる。それは大統領選挙が終わってから30日も経ってのことだ」 /6 so, we were going to go over the reporting schedules, showing that even if they thought it was a campaign expenditure to be reported, an expenditure made on October 27 (when $$ sent to Daniels atty) would not, under law, be reported until Dec. 8, a full 30 days after election ― Brad Smith (@CommishSmith) May 20, 2024 スミスが問題にしていることは理解できるだろうか。本当は選挙用の支出であるのに、それがバレると選挙対策として不適切だから、ビジネス上の支払いだと改ざんしたというのが、検察側の言い分だった。 だが、選挙用としての口止め料の支払いの報告義務の期限は、実際の大統領選挙(11月3日)が終わったあとの12月8日になっている。だったら、改ざんする必要自体が最初からないということになる。こういう重大な証言を行えなくしたのが、マーチャン判事なのだ。 なおスミスはX上の連続投稿の最後の11番目にこう書いている。 「なぜ多くのアメリカ人がトランプよりもバイデンを民主主義に対する脅威だと見ているのか。それはこの裁判に示されるような茶番劇が繰り返されていることにもあるのだ」 /11 Why do pluralities of Americans see Biden as a greater threat to democracy than Trump? It’s in part because of farces like this trial. ― Brad Smith (@CommishSmith) May 20, 2024 このとてつもない評決が出た翌日に、民主党のマンチン上院議員は抗議の意味を込めて、民主党から離党した。 この魔女狩り裁判に対するアメリカ人の怒りは大きく、評決が出たあとの24時間でトランプのもとには5280万ドル(80億円)もの寄付が集まった。 ● Trump RAISED $52.8M IN 24 HOURS Following Guilty Verdicts in Marxist Judge Juan Merchan’s Marxist New York City Show Trial (The Gateway Pundit, May. 31, 2024) デイリー・メールとJL Partnersが行った緊急調査では、今回の評決によってトランプを支持する気持ちが下がったか上がったか変わらないかを尋ねたところ、22%が支持する気持ちが高まったと答え、16%が下がったと答えた。残りの人たちは変わらないとしている。 つまり、支持する気持ちが高まった人の方が下がった人よりも6ポイント多かったということになる。 こうなると、有罪判決に持ち込むことで、トランプの大統領選挙を不利にさせようというバイデン側の試みは失敗したのかもしれない。 アメリカでは政治的分断が進んでいると言われる。そしてその原因はトランプにあるかのように、主流派マスコミは宣伝してきた。しかしそれは事実を捻じ曲げたトランプ叩きにマスコミが狂奔し、それを信じた人たちと、その嘘に気づいた人たちの間に起こっている分断ではないのか。 嘘に気付いた人たちがトランプ支持に変わるのは、ある意味当然の話だろう。これが熱烈なトランプ支持の広がりにつながっている。こうした構図を理解しない限り、現在のアメリカの政治状況は捉えられないだろう。
朝香 豊(経済評論家)