山の魅力をマルシェで発信 地域交流へ好循環 浜松・天竜区
浜松市天竜区で中山間地域の魅力を発信するマルシェ形式のイベントが続々と立ち上がっている。住民や地域にゆかりのある人たちが自慢の品を持ち寄り、出店者と来訪者の交流がさらなるイベント創出につながる循環が生まれている。 浜松市天竜区春野町の観光拠点施設「くまの親子・春野いきいき天狗村」では4月から、毎月第1日曜に地元の企業や農家による「春野てんぐ市」が開かれている。町のてんぐ伝説から着想を得た、シカ肉と野菜、シイタケをみそで煮込んだ「ten具汁」や、特産品などをアピールする場として定着しつつある。アウトドア用の小型ロケットストーブ「てんぐの小太鼓」を出品する、ナイトー工業(浜松市中央区)社長の内藤照幸さんは「てんぐをテーマにした開発商品に親しんでもらう機会になっている」と話す。 天竜区内では今年4月以降、県中西部の山の味覚や手作り雑貨を紹介する「結の市」、宿場町熊をテーマにした「宿場フェス」といったマルシェの初開催が相次いだ。小売店では手に入らない品々を求めて訪れる人でにぎわった。 区内では人口減少が加速する他方、移住したり山暮らしに興味を持って都市部から定期的に来訪したりする人々の動きがある。マルシェは中山間地域に興味を抱く人たちが、住民と交流するきっかけの場としても機能している。 数年前に中央区から天竜区春野町に移住した高津菜穂子さんは、各地のマルシェに出店して自然食品などを販売してきた。その過程で知り合った市内近郊の事業者らと協力して6月、「船明マルシェ・サンカ」を同区船明で初開催した。最近の“マルシェブーム”について「作り手と買い手がつながる貴重な機会。多少高価でもお気に入りの品を見つけたいと感じる人の関心を引きつける場となっている」とみる。
静岡新聞社