手向地区の宿坊街。1400年にわたる山岳信仰の伝統などが評価された＝鶴岡市

　観光に関する国際認証団体「グリーン・デスティネーションズ」（本部・オランダ）によるコンテスト「世界の持続可能な観光地トップ100選」で、本県から鶴岡市手向（とうげ）地区が選ばれた。県内からは初選出で、1400年を誇る山岳信仰の伝統や、住民によるまちづくりの取り組みなどが評価を受けた。 　コンテストは2014年から毎年開催されており、持続可能な観光地の取り組みを評価している。今年は45カ国から170件超の応募があり、32カ国の100地域が選ばれた。日本からは手向地区のほか、岩手県の釜石市と遠野市、長野県千曲市、京都府宮津市が選出された。 　手向地区は同地区自治振興会（勝木正人会長）が「礼拝と観光に基づく手向地区の発展」と題した取り組みを応募した。長きにわたる宿坊と巡礼者の営みは文化的な価値を誇る一方、法的に保存維持する仕組みはなく、巡礼者の高齢化などにより継続は厳しいとの声も上がる。こうした中、2年にわたって住民によるワークショップを重ね、まちづくりプランなどを作成。観光と信仰をテーマにした、にぎわいづくりなどの将来ビジョンを共有した。

　北海道大大学院と協力し、地元の歴史的・文化的な価値の明確化に向けた調査なども進めている。今回の選出について勝木会長は「地域の独自の文化と歴史を守り育てる取り組みが世界に認められた。さらに持続可能な観光地としての発展を目指したい」と話している。