消費者の9割がAI生成画像を受け入れ難い? 金融サービス業界ならではのビジュアルコミュニケーション【後編】
前半では、金融サービス業界におけるビジュアルトレンドを考察してきました。堅苦しい印象が強いかもしれない金融サービス業界においても、サステナビリティやDE&Iといったビジュアルトレンドを反映したビジュアル選択が行われているようです。後半では、「生成AI画像」に対する消費者意識調査を踏まえながら、金融サービス業界で消費者の共感を得られるビジュアル選択のポイントについて解説します。 【写真を見る】金融サービス業界で使われるビジュアル
金融サービス業界では、生成AI画像が受け入れられていない?
金融ブランドではさまざまな社会的トレンドが重視されている一方で、実際のビジュアルコミュニケーションという点を見ると、人間がカメラで撮影した「本物」のビジュアルが使用されることが好まれていることがわかりました。 消費者のビジュアルに関する意識調査「VisualGPS」によると、金融サービス業界において、「生成AI画像を受け入れる」と回答した日本の消費者は9%(世界では15%)にとどまりました。金融サービス業界や製薬業界のような「より真剣さが求められる」業界では、AIの利用に対して慎重であるべきとされる傾向が強く、特にAIへの信頼がもともと低い人々の間ではその傾向が顕著です。一方で、旅行業界のような「より理想的・夢のある」業界では、AIに対する懸念が比較的少ない傾向にあります。
AIロボットより、人間のアドバイザーを信頼する
興味深いことに、金融サービス業界においては人間同士のコミュニケーションに信頼をおいていることもわかりました。VisualGPSによると、日本の消費者の7割以上が、「AIを活用したアドバイザー(ロボアドバイザーなど)よりも人間のファイナンシャルアドバイザーを信頼する」と回答しています。実店舗を持つ金融機関に対してより信頼性が高い可能性があることがわかりました。 消費者の信頼を得ることは、金融サービス業界にとって特に重要です。「商品やサービスを購入するかどうかを決定する際に最も重要なことが『信頼性』である」と答えているのが、世界全体では6割であるのに対して、日本では8割に上っています。消費者がそのブランドの商品・サービスを購入したいと考えるのは、信頼できる評判を持ち、アクセスしやすく、人対人のカスタマーサービスを提供する企業です。 特に日本では、「信頼できる評判を持っていること」や「自分の価値観や信念と一致していること」が、他の国々と比べても重要視されています。このような背景から、日本の消費者にとっては、真正性や人間同士のつながりを強調したビジュアルが今後も重要であり続けるでしょう。