『GO HOME』桜と真の過去が少しずつ明らかに ドラマの核を担う小芝風花の芝居
連ドラにおける第2話というのは、第1話から比較してのおおまかなストーリーの流れやお決まりのセリフ、シチュエーションなどが見えてくる回だ。1話完結のドラマならば、それがより色濃く表れるだろう。ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)の第2話も、そのことを印象付けるエピソードであった。 【写真】三田桜(小芝風花)と月本真(大島優子)のバディ 毎回ゲスト出演者を迎え、捜査官の三田桜(小芝風花)と月本真(大島優子)がその遺体の死の真相を明らかにし、家族や恋人の元に帰す本作だが、第2話のゲストは綾部雪雄こと坂下雪雄を演じた片岡鶴太郎。謎の4,000万円を遺したまま亡くなった雪雄は、一時は犯罪者の疑いもあったが、生き別れた息子・秋信(萩原聖人)への償いのために、40年もの間、贅沢もせずに必死にお金を貯め続けていた。事業に失敗して借金をつくり、家族を捨てて出て行った父と秋信は絶縁状態だったが、桜と真が雪雄の生前の思いを伝えると、秋信は遺骨を引き取り、お金は重い病気を患っている息子の医療費にあて、残りは寄付をすると話す。息子の病気が治ったら、父との思い出の詰まった綾部川に釣りに出かけたいとも。 雪雄の報告書を書き終えた桜は大きな弁当を3つ持って河川敷へ。そこは桜がホームレスから重要な手がかりを聞いた綾部川に似た雪雄にとってのお気に入りの場所だ。豪勢な弁当を一つはお世話になったホームレスに、もう一つは雪雄の手向けとして、そして最後の一つを満面の笑みで口に頬張る桜。いつの間にか横には雪雄が並んでお弁当をもぐもぐと口にしている。軽くお辞儀をする雪雄の気配に、ふと桜が気づき頬を緩める。 第1話でも亡くなった富田(浅利陽介)の転落現場から桜が去ろうとした時に、富田が現れる場面があった。少しだけお辞儀をした富田に、桜はその気配に振り向き、力強い眼差しで頷く。共通しているのは、言葉はなくとも、桜への感謝を示していること。第2話では桜から雪雄への弔いの思いも感じられる。『GO HOME』を観ていて信じられる、ドラマの核となる部分は人の死に寄り添うということ。それはセリフなしの、小芝風花の芝居によって成り立っている。 桜と真のスパーリングも、この先恒例になりそうなシーンの一つだ。遺族に理解されず、拒絶されることもある。帰りの車内での口論から、向かう先はムシャクシャを吹き飛ばすジムへ。ミット打ちをしている間に、2人は自然と笑顔になっていく。 また、桜と真の過去も少しずつだが、描かれてきている。初回では桜の自殺未遂と思わしき過去がフラッシュバックされていたが、第2話では真が福島の海を訪れた際に彼との思い出が回想で映し出された。そんな真へ密かに思いを寄せる手嶋(阿部亮平)の恋の行方も気になるところ。捜査先の福島で真と偶然出会った手嶋は、ボーッと海を眺める真を気にしたり、「話し相手が欲しいときはいつでも言ってください。暇してるんで」と明らかなアプローチを仕掛け始めている。真が前を向くきっかけの相手に手嶋はなれるのだろうか。 さらに初回冒頭で桜が手を合わせていた名前のない墓石が、第2回ラストで印象的に再登場した。「早く分かるといいね、あなたの名前も」と桜は墓石の下に眠る誰かに話しかけており、この先のストーリー、もしくは彼女の過去につながっていきそうな予感がする。
渡辺彰浩