就職先に「社会保険」が完備されていなかった!さすがに「違法」じゃないの?
「健康保険や厚生年金といった社会保険は、勤務先で加入できて当たり前」と思っていませんか? 時折そういった方が「勤務先で社会保険に加入できない」と悩んでいることがあるようです。そこで、就職先による社会保険について考えてみました。
社会保険の加入要件
一般的に、就職して働くといえば、株式会社をはじめとした会社への就職でしょう。日本には、大企業から中小企業まであまたの会社があります。株式会社や合同会社といった会社形態の組織は法律上、法人に区分されます。法人においては、従業員を雇う際は社会保険に加入させることが必須とされています。 法人の事業所は社会保険の「強制適用事業所」として扱われ、会社の規模や従業員数などにかかわらず、従業員を社会保険に加入させなければならないとされています。強制適用事業所で一定時間以上働く従業員となる方は、一定の年齢に達するまで、健康保険や厚生年金といった社会保険に必ず加入することになります。 加入させない場合、事業主は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金という、非常に大きな罰則を受けるケースもあります。 そのため、就職先の会社に社会保険が完備されていないことは、法に違反する状態となります。
個人事業主に雇用される場合、社会保険に加入しないことも認められる
株式会社などの強制適用事業所とは異なり、任意適用事業所となる事業所もあります。 任意適用事業所とは、先に述べた強制適用事業所ではないものの、従業員の半数以上が適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けた事業所のことです。任意適用事業所となった場合、強制適用事業所のように、従業員は社会保険に加入することになります。 では、強制適用事業所ではなく、かつ、任意適用事業所にもならない場合はどうなるでしょうか。この場合、どちらにも当てはまらない「適用除外の事業所」として、勤務先で健康保険に加入できないこととなります。 例えば、従業員数5人未満の個人事業主がよい例です。原則、従業員数5人未満の個人事業主の事業所は、任意適用事業所とならない限り、適用事業所の条件には当てはまらず、強制適用事業所にも当てはまりません。すると、事業主は従業員を社会保険に加入させる必要がありません。 もし、就職先が従業員数5人未満の個人事業主の事業所であれば、社会保険が完備されていなくとも、違法ではないのです。