メディカルクリエーションふくしま20周年/医療機器の最前線(4) 産業との橋渡し役 一体的に事業者支援
ふくしま医療機器開発支援センター(郡山市)は医療と産業の橋渡し役として開発から事業化まで一体的に事業者などを支援する。センター長の小林利彰(68)は「医療機器の進化で救える命がある。新たな機器を待ち望む人のため、ものづくりを全力で支えていく」と語る。 センターは①医療機器の「性能評価・安全性試験」②機器開発に関わる人をつなぐ「マッチング・情報発信」③機器開発に必要な情報を伝える「コンサルティング」④機器を使う人や製造する人を育てる「人材育成・トレーニング」―の機能を有する。機器の開発を一体的に支援する施設は国内唯一。県内外の企業や大学、研究機関の関係者が訪れ、先端機器の開発に取り組む。 医療機器には人体への安全性が求められる。センターでは安全性を確認するため、動物を用いた安全性試験や電磁波を測定する試験に取り組む。模擬手術室を備え、医療従事者や医療を志す学生らが最新の医療技術を学ぶ機会を提供している。
医療関連産業のハブ拠点として県外からも注目される。鳥取大医学部付属病院は昨年6月、県内の3社と連携して大腸内視鏡の操作技術を習得するためのトレーニング装置を開発した。センターが県内企業との技術マッチングと装置の安全性評価試験を行い、製品化につながった。白河市と泉崎村に主力工場を置く朝日ラバーが光学設計と樹脂の提供、ケイ・エス・エム(郡山市)が構造設計と板金、アルファ電子(天栄村)が部材組み立てと回路基板を量産し、県内企業の技術力の高さを示した。 県は2005(平成17)年、「ふくしま次世代医療産業集積プロジェクト」を始動した。センターが核となり、県内での医療関連産業の育成・集積を加速させてきた。 異業種からの参入などが奏功し、県内の医療機器製造事業者数は2023(令和5)年が78施設で、2005年の36施設から倍増した。県内の2022年の医療用機械器具の部品出荷額は251億円で、都道府県別で13年連続で全国トップだ。