車のソフトウェアの一部仕様を共通化、次世代車の開発へ本腰…経産省やトヨタ・ホンダ・日産など
経済産業省や自動車関連団体は17日、車に搭載するソフトウェアの一部仕様を共通化すると発表した。ドアの開き方などの車体制御の領域では、トヨタ自動車などの大手メーカーが共通化を主導する。自動運転、車載サービスの領域では大学や通信大手などが協力する。こうした二つの枠組みでの連携で、次世代車の開発を本格化させる。 【図】一目でわかる…APIの共通化は2つの枠組みで進める
千葉市の幕張メッセで開催中の「ジャパンモビリティショービズウィーク」で公表した。
共通化を進めるのは、インターネットを通じてソフトを更新し、機能追加や性能向上ができる次世代車「SDV(Software Defined Vehicle=ソフトウェアが定義する車)」の開発を後押しするためだ。
具体的には、「API」と呼ばれるソフトやシステム間をつなぐ基盤部分の仕様を共通化する。これによってメーカーの垣根を越えてソフトを搭載できるようになり、外部企業の参入も容易になる。
車体制御の領域では、トヨタ、ホンダ、日産自動車の3社が主導する。近年の車はドアや窓、ワイパーなどもソフトで制御されており、APIを共通化できれば部品会社も含めて開発の効率化が期待される。
一方、名古屋大やソフトバンクなど約30社が加盟する組織は、自動運転や地図情報といった車載サービスの仕様を策定する。2024年度中に共通のAPIをまとめ、自動車大手などに広げたい考えだ。
SDVを含む次世代車開発では、米中勢が勢いを増している。日本勢はガソリン車を含めた世界シェア(占有率)で約3割を占めるものの、SDVの中核となる電気自動車(EV)では3%程度にとどまる。
経産省の伊吹英明・製造産業局長は17日の説明会で「SDV開発では多様なプレーヤーが参入する。互いの情報をつなぐ記号のような役割を持つAPIの標準化が、非常に重要な取り組みだ」と述べた。