G7議長国として岸田総理がイタリアに引き継いで欲しいこと
東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬が2月6日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理とイタリア・メローニ首相の会談について解説した。
岸田総理大臣がイタリアのメローニ首相と会談
岸田総理大臣は2月5日、イタリアのメローニ首相と総理官邸で会談した。2024年6月にイタリアで開かれるG7サミットに向け、緊密に連携することを確認した。 新行)イタリアのメローニ首相は、2023年12月に中国の巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を決めたり、日本・イギリスとの3ヵ国で行う次期戦闘機の共同開発にも参画するなど、日本との連携を進めている印象があります。 井形)かなり保守的なので、当選したときは「どうなってしまうのだろう」と心配した方も多かったと思います。しかし、蓋を開けてみると、外交に関しては現実路線を取ってきました。ロシアに対してもそうですが、中国に対しても強硬的な外交を行い始めています。ヨーロッパの国々だと、中国とは離れているし、いろいろものを買ってくれるから「ある程度付き合って仲よくしていけばいい。あまり強硬な外交は取りたくない」と考える国も多い。しかしイタリアは、「いまの中国外交は看過できないから、厳しい外交政策を取らないといけない」という方針でコミットしています。その意味では、アメリカや日本とも連携しやすい部分があるのではないでしょうか。 新行)G7議長国としての引き継ぎもありますよね? 井形)2023年には日本がG7広島サミットで、新しいアジェンダをいろいろと出しました。特に経済安全保障に関しては、日本がG7のリーダーとして「これからもG7で頑張っていく」と表明したばかりなので、ぜひイタリアにはそれを引き継ぎ、2024年も経済安全保障をさらに発展させて欲しいと思います。
G7と連携しながら「経済的威圧に対抗するためのプラットフォーム」をつくり、運用する
新行)これから重要になる経済安全保障の問題・トピックは何でしょうか? 井形)まずは「経済的威圧にどう対抗していくのか」ということが重要です。未だに中国は、原発処理水に関連して「日本から水産物を買うのはよくない」と言い、日本の水産物の輸入を止めてしまっています。言うまでもありませんが、国際原子力機関(IAEA)を始めとした国際機関が「問題ない」と言っているなかで、輸出規制を行っているのは経済的威圧に他ならない。国際社会として、「この威圧にどう対抗していくのか」を考える必要があります。 新行)国際社会で手を取り合い、経済的威圧に対抗していく。 井形)そうですね。2023年のG7広島サミットで、日本は「G7と連携しながら経済的威圧に対抗するためのプラットフォームをつくる」と表明しました。しかし、実際にどれくらい運用されているのか、外からだと見えにくいのです。その意味でも、G7のリーダーであるイタリアにはプラットフォームをつくるだけでなく、2024年は運用していくところでも頑張って欲しいと思います。