G7議長国として岸田総理がイタリアに引き継いで欲しいこと
経済安全保障上、「対外投資規制」が重要になる
新行)他に経済安全保障で気になるトピックはありますか? 井形)「対外投資規制」が重要になると思います。「対内投資規制」は比較的わかりやすいのです。例えば、日本で重要な技術を持つ企業が海外に買われてしまうと困るので、「本当に売っていいかどうかを政府が審査する」というようなシステムがある。これは日本にもありますし、各国みんな持っている制度です。 新行)対内投資規制は。 井形)対外投資規制はその逆です。アメリカでは、中国やロシアなど、問題があるかも知れない国で先端科学技術などを持つ企業に対し、「投資を規制すべきだ」という動きが出てきています。なぜかと言うと、例えば中国で先端技術を持つ企業にアメリカがお金を入れたら、そこで開発された技術が中国政府に取られてしまい、最終的にそれが人民解放軍の近代化につながる可能性もある。そうなると、アメリカ人やアメリカ企業のお金で、中国人民解放軍の技術開発をサポートしてしまう形になるのです。 新行)なるほど。 井形)実際に2023年の夏、バイデン政権は半導体・量子技術・人工知能(AI)の3分野に関して、米企業などによる中国への投資を規制すると発表しました。アメリカが投資しないのであれば、「もちろん日本も投資しませんよね? EUも投資しないでくださいよ」という流れになると思います。