広島・田村 よっしゃ!21歳がビジター連敗止めるV打「苦しい1年だった」 来季へつなぐ背番60の躍動
「ヤクルト2-5広島」(3日、神宮球場) 渾身(こんしん)のよっしゃ!が飛び出した!広島が接戦を制し、連敗を4で止めた。試合を決めたのは田村俊介外野手(21)だ。同点の九回1死満塁で決勝の2点適時打。今季、苦い経験を積んだ若鯉が貴重な一打を打ってみせた。チームは敵地での連敗が12でストップ。5日は本拠地で今季最終戦を戦う。 【写真】超絶ダイビングキャッチ 田村がハッスルプレー連発 ヘッスラもド迫力 暗雲が垂れ込めたチームに一筋の光が差し込んだ。田村が放った鋭い打球が右翼線で弾む。左翼スタンドからの大歓声を背に受け、右拳を高々と掲げた。試合を決めたのは、カープの未来を背負って立つスター候補だ。 「ストライクゾーンにきた球は全部いこうと思っていた。思い切って振れた結果だったのでよかったです」 1-1で迎えた九回だ。1死満塁でロドリゲスと対峙(たいじ)。1ボールからの甘く入ったカットボールを逃さなかった。引っ張り込んだ会心の当たりは、決勝の2点適時二塁打。4月11日・阪神戦以来の適時打をマークし、白い歯がこぼれた。 チームは2日の試合に敗れ、4位が確定。しかし、下を向いている暇はない。試合開始早々からハッスルプレーを連発した。まずは左翼の守備。初回2死でサンタナの左翼線に抜けようかという打球をダイビングキャッチ。二回の第1打席では遊撃への高く弾んだ打球で全力疾走し、ヘッドスライディングで内野安打をもぎとった。「打つだけではレギュラーにはなれない。守備、走塁も積極的にいきたい」。貪欲なプレーで連敗中のチームに勢いをもたらした。 田村自身、悔しいシーズンだった。初の開幕スタメンに名を連ねるなどブレークが期待されたが、打撃不振で5月に2軍降格。それでも「この経験が無駄になることはないと思う。今はとにかく練習するだけです」と課題を向き合い続けた。そして、再びつかんだチャンス。26日・ヤクルト戦以降は7試合連続でスタメン出場し、その間打率・250。「打てなくても使ってもらっているので、1打席でも多くアピールできる打席を増やしたい」と現状に満足することなく、一歩ずつ成長しようともがいている。 チームは連敗を4で止め、敵地での連敗も12でストップ。試合後、左翼席の鯉党へあいさつを行ったナインへ降り注いだのは、今季の感謝と来季への期待が込められた大歓声だった。「苦しい1年だったとは自分の中で思う。来年につながるような練習をやっていきたい」と田村。来季につながると信じ、5日の今季最終戦も全力プレーで勝利を目指す。