ヴァレンティノ、新たな「青」でマスキュリニティを解き放つ【2024年秋冬コレクション】
ヴァレンティノが2024年秋冬コレクションの開催地に選んだのは、セーヌ川からほど近い、パリの中心部に位置するモネ・ド・パリ。昨シーズンはミラノでショーを行った同ブランドにとって、久々のパリ・ファッションウィークでの発表となる。「ル シエル 20.24」(仏語で「空」の意)と題されたピエールパオロ・ピッチョーリによる新作コレクションにはスカイブルーが多用され、マスキュリニティという概念を軸に展開。ここでは、ヴァレンティノの新作ショーの見どころを紹介する。 【写真を見る】ヴァレンティノの2024年秋冬メンズコレクションのルックをチェック! ■ヴァレンティノブルー 2022年秋冬コレクションを彩り、ブランドのイメージカラーとして徐々に定着していった「ピンク PP」に続き、今回ピエールパオロ・ピッチョーリは鮮やかなブルーにフォーカス。招待状にも使用され、ショーに出席するゲストが座るベンチや会場の壁の一部も青で覆われた。コレクションのなかでも数点のアイテムにのみ採用された新たな青色は、自由な男性像を表し、マスキュリニティの概念を進化させている。 ■対照的なサウンドトラック コレクションの繊細さと、古き良きパリのオートクチュールサロンを彷彿とさせる落ち着きのあるインテリアに対し、ロックという選曲はショーの和やかな雰囲気とは相反するものだった。インディーロックバンド、ゴシップのリードボーカルであるベス・ディットーの歌声を背景に、モデルたちが複数の部屋を歩き渡った。 ■上品なワードローブ 2016年よりヴァレンティノを率いてきたピッチョーリは今シーズン、メンズウェアのエッセンシャルアイテムに焦点を当てた。ベーシックなワードローブが、同ブランドが持つサヴォアフェール(匠の技)により、気品のあるスタイルへと昇華。柔らかさ、流麗さ、繊細さ、優美さがキーワードとなったコレクションで、リラックスしたカッティングとベーシックアイテムへの回帰を提案した。ロングコート、スーツ&ネクタイ、オーバーシャツ、タートルネックのトップはオートクチュール的なスタイルで再解釈され、日常のワードローブをシックかつエレガントに格上げする。 ■レイヤリングを駆使 今回のヴァレンティノのショーで何度も登場したレイヤードスタイル。ピッチョーリが提案するルックには、スタイリッシュな重ね着が随所に見られる。あらゆる色のタートルネックがベースとなり、その上にシャツやポロシャツ、そしてテーラードジャケットやコートが重ねられる。控えめながら最大限の効果を発揮するこの手法は、ヴァレンティノをこれほどまでにエレガントに引き立てる。 ■ストリートスタイル ピエールパオロ・ピッチョーリはダークで落ち着いた色調のフォーマルなワードローブを提案する一方で、ストリートウェア調のカジュアルなアイテムも巧みに忍ばせた。スーツの下に合わせたフーディや、控えめなパーカあるいはフード付きのジップアップジャケットで、サルトリアルなワードローブとのバランスを取っている。 From GQ France By Adrien Communier Translated by Masashi Nozaki