ユメノユア初キュレーションイベント「YMP」が生んだ、注目オルタナバンドの化学反応
アイドルグループ・GANG PARADEのユメノユアが自らキュレーションを務めるライブイベント「YMP supported by Rolling Stone Japan Vo.1」が、2024年10月11日に渋谷Spotify O-crestで開催された。 【写真を見る】「YMP」ライブの様子(全26枚) YMPは「Yua connects Music Palooza」「Youth Music Palooza」の略であり、新しい音楽を発見する場所、音楽好きな人が集まる場所・現場目線のオルタナティブなライブイベントという意味が込められている。GANG PARADEのメンバーであるユメノユアは、前身グループPOPから長きにわたって自身が迫力のあるパフォーマンスを見せてきたことは勿論、その根幹は、何より中高生の頃からバンドを聴き続けており、今でも頻繁にライブハウスにも足を運ぶ無類の音楽好きである。 音楽とライブハウスが拠り所であると語る彼女がキュレーションする今回のイベント「YMP」第1回は、彼女がセレクトしたバンドEnfantsとGill Snatchの二組が出演することとなった。ユメノユアがセレクトしたBGMが流れる会場内では、開演時刻になると、まずユメノ本人がステージに現れた。「最近は世の中には音楽が溢れていると思いますが、リアルなライブハウスという場所でしか届けられない音楽もあるんじゃないかという想いがあって。今回はどうしても皆さんに届けたいバンド2組に出演していただくことになりました。今日皆さんがここで見て、聞いて、感じる音楽は、今日ここに来たことでしか感じられないものだと思いますので、ぜひ感じたことを持ち帰ってもらえると嬉しいです」と、初夜を迎えるイベントとライブハウスへ込めた想いを語った。 挨拶が終わったステージには一組目のGill Snatchが登場。黒のジャケットに身を包んだフロントメンバー3人のクールな佇まいに目を奪われていると、ドラムスの4カウントから始まるダンスロックナンバー「easy life」でライブは幕を開けた。一夜のステージの始まりを告げる叫びのようなギターのワウを多彩に盛り込み、リズム隊も勢いのある重たい音色で楽曲を時には支え、時には引っ張っていく。そんな彼らによる細かくキメも多分に盛り込んだグルーブに会場も自然と拳を上げ、身体も揺らされていく。「Cry B Cry」、「九十九」と硬派かつ荒々しさのあるロックサウンドを全開にし、艶のあるメロディラインの上でGt./Vo.樋口タクトのややしゃがれた歌声がセクシーに映える楽曲を会場一人一人にぶつけていく。そしてそれを受け取った一人一人が間違いなく彼らの虜となっていった。「over rumble」などグランジやダンスロック調の楽曲がライブ全体を勢いづけていく一方、チルな前半から激情的な展開を見せていく楽曲「rust」などもアクセントとなり、一層惹きつけられていった。 曲の合間もMCを挟まず、セッションやドラムプレイなど常に誰かのサウンドが鳴り続けて、それに全員が乗じて次の曲がスタートしていく。この怒涛の展開が彼らの勢いを体現しているようで、セットリスト全体が展開のある一曲のように感じられた。流れを一切崩すことがなかったことも自分たちの世界観をより完璧に作り上げていった要因の一つだろう。艶のある世界観は観衆の心を掴むのに充分すぎるほどだった。6曲を全力で駆け抜けた最後は、“真っ白なこの世界であなたはどうにかなりそうで 温い地獄から連れ出してみせるよ”という歌詞が指すように、暖かさを滲ませるような楽曲「yudegaeru」をラストナンバーで披露。Gill Snatchはギターとベースのハウリングが鳴り止まないステージを後にした。