EU加盟候補国のモルドバ、ロシア国営ガス会社の供給停止で大規模停電の恐れ
【ロンドン=中西梓】ロシア国営ガス会社ガスプロムは28日、ウクライナの隣国モルドバ向けへの天然ガスの供給を、2025年1月1日から停止すると発表した。供給が停止されればガス火力発電所が燃料不足に陥り、今後モルドバでは大規模な停電が起きる恐れがある。
ガスプロムは声明で、モルドバが過去の債務の返済を拒否していることが供給停止の理由だと説明した。
ロイター通信などによると、ガスプロムは年間約20億立方メートルの天然ガスをモルドバに供給している。ガスの多くは、モルドバで消費される電力の7~8割を供給するガス火力発電所で使用されるという。
モルドバの議会は今月、ロシアからのガス供給が止まる恐れがあるとして、非常事態宣言を発令した。旧ソ連構成国のモルドバは、ウクライナとともに欧州連合(EU)の「加盟候補国」に認定されている。11月に大統領選決選投票が行われ、親欧米派でEU加盟を目指す現職のマイア・サンドゥ氏が当選していた。