お正月に飾る「松竹梅」 ランクづけに使われるようになった経緯と順番の理由とは
ランクづけに松竹梅が使われる理由とは
飲食店のメニューをはじめ、3つあるサービスなどに、グレードやランクによって「松竹梅」が使われる習わしが日本ではあります。たとえば、寿司店や蕎麦店のメニュー表に、松コース、竹コース、梅コースなどと書かれていることがあるでしょう。贈答品などでも松竹梅で分けられていることがあります。 この理由は「一番安い並を注文しにくい」「特上を頼むと気取った感じになりそう」といった客側の心理に配慮したことから始まったといわれています。直接的な言葉よりも、間接的な言い回しを使うことで注文もしやすく、さらに縁起物の名であれば気分も良くなるとして表記されるようになりました。一般的には良いものから「松→竹→梅」の順番で、特上が松、上が竹、並が梅といったケースが多いです。 本来の松竹梅には、縁起が良い植物の集まりなので序列はありません。しかし、松がランクづけの上にくる理由は、縁起物となった歴史の古さ順という説が一般的です。前述の通り、松が縁起物とされるようになったのは平安時代、竹は室町時代、梅は江戸時代とみられています。古い松から順に並べた松竹梅が、そのままランクの順番となったと考えられています。 もうすぐお正月。新年を迎える準備を進めるにあたり、門松は28日までに立てるのが良いでしょう。29日は「苦立て」、31日は「一夜飾り」といって敬遠されています。松竹梅にまつわる由来や受け継がれる風習に思いを馳せつつ、良いお年をお迎えください。
鶴丸 和子