「夫の夢」は…ダウン症のある娘と家族で”世界一周の旅”をすると決めた理由
待望の第一子を産んだ直後に、ダウン症と知らされたフリーアナウンサーの長谷部真奈見さん。出産当初は娘がダウン症である事実を受け入れることができず、誰にも明かせないまま、自殺を考えるほど思いつめた時期もあったという。そして、現在長谷部さんは、15歳になった娘さんや家族との楽しい日々をブログなどで積極的に発信している。 【写真】家族で到着したベトナムで。そして怒涛の世界一周準備は… そんな長谷部さんにこの春大きな転機があった。娘さんの中学卒業を機に、娘さんと夫と3人で世界一周の旅に出ることになったのだ。しかし、旅立つまでには、さまざまな葛藤や不安や迷いもあったという。ダウン症のある娘とともに、世界一周の旅に出ることになった長谷部一家のいきさつと決断について、第1回目前編お伝えする。
夫からの突然の夢の告白
私は今、ベトナム、ハノイへ向かう飛行機に乗っている。 ダウン症のある娘を連れて、世界一周の旅がついにスタートしてしまった。 ちなみに、娘は4日前に新しい学校で入学式を終えたばかりだったが、義務教育ではないので一旦お休みをいただいた。 すべてのきっかけは、数年前の夫の一言。 「長年願い続けて未だ叶えられていない夢があってね、それは、世界一周旅行なんだ」 この時、私は咄嗟に「行けば良いじゃん! 夢、叶うよ。応援するし!」と軽いノリで夫の背中を押してしまったのだ。まさか、続いて夫から「ありがとう! じゃあ、家族で一緒に叶えてくれる!?」と言われるとは思っていなかった……。 たしかに私も旅行は嫌いではない。むしろ海外旅行はワクワクして好きだ。 ただ、世界一周旅行となると、まったく話は違ってくる。 どうやって? ? 娘の学校は? 私の仕事は? 一体どれぐらい休むの? だいたい、世界一周の費用はどこから捻出するんだ!? そんなの無理に決まってる……!! 私には約10年キャスターを続けて来たレギュラー番組もあった。自ら降板するなんて考えたこともなかった。他にも、依頼されていた仕事や、司会者として立ち上げから関わらせて頂いていた某YouTube企画も始まったばかりだった。自分が経営する会社の仕事は、スマホとPC、Wi-Fiがあれば、なんとかなるにしても、私が不在になればその分、負担がかかるのは社員。何と伝えたら良いのかすら分からなかった。 それなのに私は――、 夫から「世界一周、一緒に行ってくれる?」と問われた瞬間、 「え……!?」と動揺しつつも、応援する! と夫に勧めてしまった手前、「もちろん良いけど、娘が中学校(義務教育)を卒業するまでは待ってね。今は学校を休ませられないからね」などと言ってしまったのだ。