「僕にとってパタゴニアは……」デザイナー本人に聞く、人気デザインに込めた想い
4月に行われた、パタゴニア初となるライブ・アートパフォーマンスイベント。その中心にいたのは、生物学者でアーティストとしても活動するワイアット・ハーシー氏だ。 ▶︎すべての写真を見る
パタゴニアの人気アイテムのグラフィックも手掛ける彼に、デザインへ込める思いについて話を聞いた。
「アートを通して、動植物への敬意を促したい」
――ワイアットさんがアーティストを志すようになったキッカケはなんだったんですか? 実は、あまり明確に志していたわけではないんです。今、僕はサンタクルーズに住んでいて、両親がふたりともグラフィックアーティストでした。ですから、子供の頃からアートを通して表現することは日常的だったんです。 スキルは自ら習得したもので、専門的に勉強したわけではありません。大学で勉強していたのは生物学。僕はもともと生物学者で、野鳥観察が主な領域になります。 ただ、生物学者は野鳥を観察する際、目に写った動植物を模写したりする作業もあるんですよ。なので、アーティストとしてフルで活動する前から、仕事の中で絵は描いていました。アートで生計を立てるようになったのはごく最近のことです。
――野鳥の現在の危機的状況も、アートを描くモチベーションになっているのですか? もちろん、そこは大切なポイントです。僕の絵は、例えば温暖化に対して強く訴えるというようなテーマではない。だけど、野生の動物だとか自然界の状況を楽しく描くことによって、それを見た人々が自然とのつながりを認識し、理解してくれたらいいと思っています。
自然が今どういう状況に陥っているのかを感じ、我々人間が環境に対してどのように関わっていくべきかを考えることが大切です。そのためにどうすべきかを考え、もっと自然の動植物に敬意を示すことを皆さんに促せたらいいな、という想いで描いています。
――作品のインスピレーションの源は? ふたつあります。ひとつは、自分の性格がユニークで、楽しいことをしたり人を楽しませたりすることが好きなこと。そもそものパーソナリティが要因になっていると思います。そのベースとなったのは、父の影響もあるでしょう。 もうひとつは、先ほども申し上げたように、自然界の動植物全般。その世界が好きですし、自身もその世界に属するひとつの生き物と考えていますから。