「母乳飲ませる練習しているの?」 夫の言葉に傷ついた…母乳育児に悩む母親たち #令和の親
「お母さんの『意志』尊重して」
母乳育児を巡るさまざまな課題はどうすれば解消されるのか。 母乳育児支援の国際資格「国際認定ラクテーション・コンサルタント」を持つ「すず助産院」(浦安市)の來田美鈴院長は、産後の母親たちが「母乳が出にくい」と感じる状況を作り出しているのは「母親自身の問題というより、妊娠中の情報のあり方や母乳育児支援のあり方、退院後のサポート体制などが大きく影響している」と話す。 退院後も継続的に母乳育児などのサポートを受けられることが理想だが、「今は1カ月健診が終わると、母親はきちんとした方法を教えてもらっていないから荒波に放り出され、溺れているような状態。情報はたくさんあるけれど、それが正しいものじゃないことも多い。本来は妊娠前から正しい情報が得られる環境が必要」と指摘する。 母乳育児には前提として、子どもには「母乳育児で育つ権利」、母親には「母乳育児をする、したいという権利」があるとし、「ミルクが絶対にだめ、母乳じゃなければならないということではない」と強調。助産院などの支援先が「母乳で育てたいと思う母親の権利を支えることが重要」とする。ただ、こうした支援先でも「こういう人は母乳がでにくい」「これは難しい」などとの言葉をかけられ、母親が傷つけられているケースも少なくないとし、母親側には「思いをきちんと受け止めてくれる助産師などに相談してほしい」と呼び掛ける。 家族などの母親の周囲の人には「母乳育児がつらいと思うのは自然な感情で、周りがその気持ちを否定しないことが大切。お母さんは120%努力してきたと思うのでその気持ちを受け止めてほしい。母乳育児は1人でやるものではない。最も大切なのは周囲が理解し、気持ちに寄り添いお母さんの意志を尊重すること」と訴える。 ※この記事は千葉日報とYahoo!ニュースによる共同連携企画です