焼失面積は2500平方㍍ 珠洲・宝立の津波火災 実況見分始まる 住民「津波去った後に火が」
珠洲署と珠洲消防署は30日、能登半島地震による津波の被害を受けた珠洲市宝立町春日野・鵜飼(うかい)で発生した火災の実況見分を行い、住宅4棟が全焼、2棟が部分焼で、約2500平方㍍が焼失したことが分かった。津波の漂着物から家屋に火が燃え広がる「津波火災」の可能性があるとみている。火災の死者はいなかった。 珠洲署と珠洲消防署によると、火元や出火原因は特定に至らなかった。津波でがれきが押し寄せ、家庭用プロパンガスや車の燃料が漏れて引火した津波火災の可能性があるとみて、随時見分を続ける。 現場は国道249号と海岸の間の住宅密集地帯。珠洲消防署によると火災は1日午後6時半ごろ発生し、14時間後に鎮火した。断水で消火栓が使えなかったことに加え、地震と津波で倒壊した家屋や電柱が道路をふさぎ、消防隊が近づけず、消火に時間を要した。 木造2階建て住宅が全焼した金田偉い佐さ夫おさん(73)は当時、避難した老人ホームから火災を目撃。「津波が去った後に火が上がった。心配で近くまで様子を見に行ったら自宅が燃え、もうだめやと思った」と語った。現在は妻みついさん(69)と野々市市のアパートを借りて避難しており、「珠洲に戻りたいが、どうすることもできない」と悲痛の表情を見せた。