モレイラを背に芝コースで追われるビクターザウィナー

◇２５日　「第５８回スプリンターズＳ」（Ｇ１・２９日・中山・芝１２００メートル）追い切り 　見た目はゆったり。時計は速い。そのギャップが、ビクターザウイナーの素軽さと加速の滑らかさを雄弁に物語っていた。中山芝で馬なりの単走。モレイラの手綱はずっと抑えたままだったが、直線の急坂をフラットなシャティンで走っているかのように苦にせず、馬場の６分どころをラスト１Ｆ１１秒５で真っすぐ伸びてきた。 　「グッドな仕上がり。気力も充実しているし手綱の感触もすごく良かったよ」とモレイラ。腰周りは、はち切れんばかりに膨らんでいるが、縦に２本筋肉の分かれ目がくっきり見える。鞍上の言葉通り、シーズン初戦からメイチに近い仕上がりだ。 　もともと鉄砲駆けの利く馬でもある。２年前、昨年と香港のシーズン開幕にあたる９月の初戦はどちらも勝利。シャム師は「フレッシュな方がいい馬。過去２年とも、フレッシュな状態でしっかり走ってくれた。今朝も非常に良い動きだったし、気性的にもとてもハッピー。空輸直後は少し体重が減ったけれど、昨日（２４日）で４９２キロ。彼のベスト体重に近いところまで戻ってきている。高松宮記念（３着）より良い状態だよ」と調整過程に、ほぼ満点の評価をつけた。 　香港での直近２走は大敗したが「疲れも出ていたし斤量も背負った。でも夏をしっかり休んだからね。地元だと斤量が重いが、ここなら定量戦だから」とトレーナー。持ち直して状態は高松宮記念以上。回りもシャティンと同じ右回りになる。それに「何がラッキーって、ジョー（モレイラ）が乗ってくれる」とマジックマンの騎乗を最大の期待要因に上げたトレーナー。３着だった高松宮記念より上の着順を確信している。