新潟・菊水酒造、海外でも個性派揃えニーズ応える 米国主体に市場深掘り
新潟県新発田市に本社を構える地酒の有力蔵。1995年に輸出を開始して以降、「菊水」ブランドを世界各国に展開してきた。現地法人を置くアメリカを主体に需要を深掘りしているが、輸出専用「純米吟醸」やアルミ缶入り生原酒「ふなぐち」など個性豊かなラインアップで多様なニーズに応えている。
上位3本柱で8割以上
海外での出荷上位は、輸出専用で広く親しまれる「純米吟醸」、日本で発売50周年を迎えたアルミ缶入り生原酒「ふなぐち」、輸出専用のにごり酒「パーフェクトスノー」の順。 味わいや商品特長など個性の異なるラインアップを揃え、飲食店などユーザーの要望にあわせて提案する。この3本柱で売上の8割以上を占めるという。 「純米吟醸」は、08年に国内外の併売から輸出専用商品に切り替え、今では「アメリカで最もポピュラーな純米吟醸酒」(同社)に育った。クリーンでスムーズな口当たりが特長で、みかんのような爽やかな含み香、程よいコクと心地よいドライ感で幅広い料理と相性が良い。 「ふなぐち」は、ニューヨークなど東海岸に限ると同社売上№1に浮上する。しかし、輸出を始めた当時はまったく売れなかったという。アルミ缶入りがチープな印象を与えたためだ。 そこからは自社の営業スタッフらで「缶に入っている理由・効果」などを熱心かつていねいに啓もうして回る日々が続いた。「一度飲めばフレッシュかつフルーティーな生原酒のおいしさを分かっていただける」(同社)。 いつしか「ふなぐち」は「アルミ缶だから品質が保持されている」「クールでスタイリッシュ」などポジティブなイメージが浸透しブレイク。ニューヨークの居酒屋やラーメン屋では缶でそのまま楽しむスタイルが定着した。 「パーフェクトスノー」は11年に発売。日本では冬のイメージが強いにごり酒だが、アメリカでは通年で安定した売れ行きだという。アルコール度数は21%と高く、口に含むとコクがありながらもキレのあるダイナミックな味わいが特長。もろみの粒のほのかな食感と相まって、コクのある甘みが楽しめる。