なぜ「物事をやりとげられない」のか?今日から変わるためのアドバイス
なぜ最後までやりとげられないのか?
Burkeman氏によると、最後までやりとげるのが難しいのは、2つの根本的な理由があるからだそうです。 どちらにも、人間が本質的に限界を持つことを、私たちが認めたくない、という問題がからんでいます。 第一の理由は、何をはじめるにしても、はじめる前には、完璧にできるという幻想が実現しそうに思えるからです。 あなたは、今回はすべてがうまく運ぶような気がしています。ところが、それが難しくなってくるので、何か別のことをはじめたくなってしまうのです。 完璧主義の幻想を持ち続ける限り、何かを最後までやりとげられることはありません。 第二の理由は、たくさんの仕事を抱えているというだけで、心の深いところで、自分が重要な人物になったような気がするからです。 「自分に何かしてもらうのを待っている人が10人いるのなら、自分は重要人物に違いない、と感じるわけです」と、Burkeman氏は指摘します。 私たちはなぜか、こんな風に考えてしまいます。「やりたいことをすべて終わらせるのに何年も何年もかかるのであれば、....それらをやりとげる年数が、自分にはあるはずだ」と。 それはまるで、命に限りがあることを否定しているようなものです。 その結果として、新しいことをはじめたくなるわけです。 けれども、そんな生き方は疲れますし、やがて、やる気もなくなっていきます。なぜなら、実際にやりとげて世に送り出し、何かを達成した、という満足感を、決して味わうことがないからです。
「最後までやりとげること」をはじめる
最後までやりとげられるようになるための第一歩は、「何でもやりかけのままにする習慣が自分のためにならないこと」を認めることです。 完璧さを求める気持ちをなだめましょう。完璧さを求めるせいで、やりとげることによる深い満足感を得られないことに気づきましょう。 「たいていは、そうしたことに気づくと、行動が変わります」とBurkeman氏は説明します。 最後までやりとげられるようになるには、「最後まで終わらせる」ことの意味を定義し直す必要がある、とBurkeman氏は言います。 本を書くという目標を立てた場合、「この本を最後まで書き終えなければならない」と思うかもしれません。 もちろん、いずれ書き終えることになるわけですが、本1冊というのは、とてつもない大仕事です。 代わりに、大きなプロジェクトや目標を、より小さなかたまりに区切り、中間目標やマイルストーンを設定しましょう。 そうしたうえで、最後までやりとげることが可能な、一つひとつの作業に向き合うのです。 状況全体からドラマチックなところをなくして、日々作業を達成していくのです。 本を1冊書き上げることの代わりに、たとえば、第2章の構成を考えることが目標になるかもしれません。 そしてやり終えたら、小さな成功をお祝いしましょう。小さな作業を終わらせることによって、やりとげたというエネルギーを、驚くほどたくさん得ることができます。 もう1つの工夫は、プロジェクトを終わらせるための時間をつくることです。 Burkeman氏がすすめるのは、『Time Warrior(時間の戦士)』(未邦訳)の著者で、意欲を引き出す方法を教えるSteve Chandler氏が提案するテクニック。 1週間に1日、あるいは1カ月に1日を、終わっていない作業を完了させる時間に充てるのです。 生活や仕事の中でやり終えていないことを、思いつく限りたくさん終わらせましょう。 そんなことをしたら疲労困憊してしまう、と思うかもしれませんが、未完の案件があると、やる気や注意力が流出してしまうのです。こうした案件を終わらせていくことで、力がみなぎるのを感じるでしょう。