「保守の目覚め」 菅直人元首相〝牙城〟の東京都武蔵野市 市長、衆院、都議選で自民3勝
前東京都議の辞職に伴う都議補選(武蔵野市選挙区、欠員1)が17日投開票され、自民党新人で前市議の東真理子氏(58)が、立憲民主党新人で元市職員の千葉めぐみ氏(38)=生活者ネットワーク推薦=を一騎打ちで破った。同市を含む東京18区は立民の菅直人元首相が長く選挙地盤とした一方、昨年12月に自民系市長が誕生すると、今年10月の衆院選東京18区でも自民党新人が立民新人に勝利しており、市政、都政、国政で自民系が握る結果となった。 【写真】菅直人元首相の「後継」、松下玲子氏 東京18区で落選も比例復活 ■1822票で勝敗分ける 都議補選は同市選出の都議だった立民の五十嵐衣里衆院議員が、10月の衆院選で東京30区への出馬を決めたことで実施された。東氏が2万2153票、千葉氏が2万331票で、1822票の僅差だった。投票率は34・9%で、前回令和3年都議選の47・6%から12・7ポイント減らした。 東氏は武蔵野市議を4期11年務め、今回、小中学校の給食費の無料化、JR武蔵境駅の改札時間の延長、児童虐待対策の強化、闇バイトの根絶などを掲げた。千葉氏は平成27年に武蔵野市役所に入庁し、令和5年に退職。都庁舎を彩るプロジェクションマッピング予算を生活支援に振り分けることなどを訴えたが、届かなかった。 同市はリベラル色の強い土地柄といわれるが、菅氏が昨年11月に次期衆院選不出馬を表明。現職の武蔵野市長で、平成17年の都議選から同市を地盤とする松下玲子氏を後継指名したが、その後、立民の〝牙城〟に変化が生じる。 ■339票で明暗 松下氏の辞職に伴う12月の市長選では、無所属新人で自民、公明が推薦する元市議の小美濃安弘氏が、無所属新人の立民、共産、れいわ新選組、社民、武蔵野・生活者ネットワークが支持する元市議を破った。小美濃氏にとっては11月下旬から自民党の派閥パーティー収入不記載事件が報じられる中、339票差の僅差での勝利だった。 ■0・9ポイントの僅差 松下氏は先の衆院選で東京18区から出馬し、菅氏も選挙応援に駆け付けたが、自民党新人の福田かおる衆院議員に敗れ、比例復活に甘んじた。2182票差で、得票率で0・9ポイント差の惜敗だった。一方、武蔵野市に限ると松下氏は福田氏に3538票差を付けられてしまった。
松下氏を巡っては、市長時代の令和3年11月、日本人と外国人を区別せずに投票権を認める住民投票条例案を市議会に提出し、「外国人参政権につながる恐れがある」などと紛糾し、賛否を巡って二分した経緯がある。武蔵野市の自民党関係者は、「条例案提出で保守系の危機感が熱を帯び、一丸となっている」と述べ、今回の都議補選の結果について「市長に加え、都議も任期途中で辞任したことで市民の不信を招いたのではないか」と語る。(奥原慎平)