成馬零一の「2024年 年間ベストドラマTOP10」 『ベビわる』の現代性、宮藤官九郎の怪作
6位の『地面師たち』も今年の話題作で、普段ドラマを観ない層にも届いていると感じたのが『不適切』、『虎に翼』、『地面師たち』の3本だった、地面師詐欺を扱ったピカレスクドラマだが、監督の大根仁の演出がキレッキレで一気に最後まで観てしまう。これまで試行錯誤されてきた国産Netflixドラマの現時点における到達点。 7位の『【推しの子】』は、原作漫画の映像化という昨今問題になっているテーマに対して、正面から挑んだ怪作。原作では2,5次元舞台だった劇中劇『東京ブレイド』をテレビドラマに変えたことで、原作者と脚本家たちクリエイターの衝突というテーマにより説得力が生まれた。 8位の『光る君へ』は、平安時代を舞台にした大河ドラマとして完成度の高い物語を一年間見せてくれたが、史実の再現に縛られずに物語の力を貫いた大石静の脚本家としての姿勢に共感する。 9位の『さよならのつづき』は、黒崎博(監督)と岡田惠和(脚本)という朝ドラ『ひよっこ』(NHK)コンビによる異色のヒューマンドラマ。『地面師たち』とは違う型でNetflixドラマの可能性を広げた。 10位の『海に眠るダイヤモンド』は、塚原あゆ子を中心としたドラマチームによる、CGとロケを組み合わせることで再現した端島(軍艦島)の映像がとても素晴らしかった。
成馬零一