中村時広・愛媛県知事に聞く(全文1)人口減少、ビッグデータ使い婚活支援
「魅力的な就職先が実は多い」と自負
── 愛媛県の場合、製造業が盛んですので、就職先が全くない、ということではないですよね(愛媛県は製造品出荷額が4兆1392億円と四国全体の46.9%を占める工業県)。 そうですね。それともう一つは、一次産業、これは産業関係者にもよく言うんだけれども、農業、林業、水産業、やり方によっては十分に収益を上げられる業態なんですね。 ところが、共通しているのは、一次産業の従事者の皆さん、利益を上げているときに、よかったですと決して言わないんですよ。むしろ厳しいという声はどんどん言うという、何となくそういう傾向があるので、その外側にいる方々にとっては厳しいという声しか聞こえてこないので、業として成り立たないんじゃないだろうか、厳しそうだなと、つらそうだなという印象が強く残ってしまっているんですね。
でも、実際、県内で一次産業にかかわっている方々、特に若手の方々と出会いますと、十分な収益を上げられているんですね。ですから、この一次産業でも、やり方によっては収益が十分に上げられる、業として成り立つということが正しく伝わるようになれば、後継者も生まれてくると、最近そういった点に気づかれた若い方々が愛媛に来られて、農業や林業、水産業を始める方も増え始めていますので、このあたりも注目してほしいなと思っています。
──この30年間、愛媛県で人口減少を食いとめるために努力してきたこと、ポイントは。 私がこの仕事をいただいてから7年なので、そこに集中してしまうんですけれども、人口減少を克服するためには三つのアプローチが必要だと思っています。 一つは、そもそもの話になりますけれども、出生率を上げるということ。今1.4%前後と言われていますけれども、厳密にではないですが、2.0%以上の出生率が確保できれば人口は減らないということになりますが、1.4%でありますと徐々に減っていくという過程に入っていきますよね。そもそも論として、ここの出生率を上げるために何をすべきかというアプローチが1点。 それからもう一つは、先ほどの転出超過という話がありましたけれども、人口の流出をどのようなことを行えば食いとめることができるか、人口流出の抑止。それからもう一つは、人口流入の促進。外から人に来ていただくことと、移り住んでいただくこと、あるいは帰ってきてもらう。この3点の政策的なアプローチが必要だと思っています。 それに従って、愛媛らしいアイデアをもって何ができるかを、今、県の職員と一緒になって追い求めているところです。