藤岡真威人「父の深い愛に触れてきたから通ずるものがある」“演じてきた役で、一番自分に似ている”と語る理由
俳優・藤岡弘、さんの長男で、2020年に俳優デビューした藤岡真威人さん。話題作に続々出演し、舞台『西遊記』では、三蔵一行が立ち寄る是空国の国王・牛魔王の息子、紅孩児役を務める。「これまで演じてきた役の中で、一番僕自身に似ている」と語る理由とは――? インタビュー前編では、藤岡さんにとって二度目の舞台挑戦となる本作についてお話を伺いました。 【写真で見る】目力強すぎ…! 藤岡真威人さんの写真をもっと見る
すべてのキャラクターが“自分だけの物語”を背負っている
――製作発表の会見時には、出演者のみなさんが口々に「台本を読んだだけでスケールの大きさに圧倒される」とおっしゃっていましたね。 そうなんです。小説を読むみたいに一気に読んでしまいましたし、この世界観に参加できるのか!とわくわくしました。派手な立ち回りも多いですが、セリフの掛け合いもユーモアに溢れていて、目で観ても耳で聴いても楽しんでもらえる舞台だと思います。 ――『西遊記』自体にはどんな印象を持っていましたか? 孫悟空が三蔵法師と天竺を目指して旅をし、その道中でいろんなトラブルや戦いに巻き込まれる……。そんな基本的なストーリーは、子どもの頃に絵本などで読んで知っていましたが、細部までは覚えていなくて。僕が演じるのは、牛魔王の息子である紅孩児なんですが、実を言うと最初は「そんなキャラクターいたかな……?」という感じで。 ――古典的な物語って、なんとなく知ってるつもりで、実は読んだことも観たこともない、ってことが多いですよね。 観客のみなさんの中にも、牛魔王は聞いたことがあるけど……って方は多いんじゃないかなと思うんです。でも台本には、紅孩児だけでなくすべてのキャラクターが“自分だけの物語”を背負っているんだということが描かれているので、それぞれの生きざまみたいなものに、みなさんも心打たれるんじゃないかなと思います。
両親を演じる松平健さん、中山美穂さんの印象
――藤岡さんから見て、紅孩児はどんなキャラクターですか? 純粋な少年だなと。父親の牛魔王、母親の鉄扇公主に深い愛を注がれて育ってきて、彼自身も両親のことを心の底から愛している。だからこそ……孫悟空との闘いを通じて、両親の秘密が明らかになったときは、今まで信じてきたものをすべてひっくり返されたようで動揺してしまう。でも、なぜ自分に秘密にしていたのか、両親がこれまでどんな想いで生きてきたのかに改めて触れることで、よりいっそう家族愛が深まる展開を見せるのがいいな、と思いました。 ――今回の舞台は「愛」もテーマでありますもんね。 そうなんです。彼には彼なりの正義や愛がある。それは他のキャラクターも同じなんですよね。基本的にはバトルシーンが多いですが、勧善懲悪の物語ではないところもこの作品の魅力です。孫悟空だけでなく、敵側が見せる仲間や家族との愛や絆についても注目していただきたいですし、その部分を表現できるよう役作りしていきたいです。 ――父・牛魔王役は松平健さん、母・鉄扇公主役は中山美穂さんですが、お二人に対しての印象はいかがですか。 圧倒的な存在感をもつお二人に挟まれて、僕は大丈夫だろうかと(笑)。松平さんは、牛魔王の名に恥じない貫禄で、眼力もすごくて。ポスターをご覧になればおわかりになるように、角をはやしたビジュアルとお衣装がとんでもなく似合っていらっしゃる。中山さんは中山さんで、松平さんに負けない迫力のなかに妖艶な美しさがあって……お二人の遺伝子を引き継いでいるのだという説得力を僕自身、もたせないといけないなと思っています。