書店の減少が深刻な「奈良」閉店相次ぐ中…子ども一人ひとりにオススメ本選ぶ店「関心ない子が好きになるのが見え楽しい」
書店の減少は「本と出会う」文化の廃れ
本との出会いを大切にするからこそ愛される町の書店。しかし今、全国的に書店が減少しています。特に奈良県では半分以上の市町村で、書店がない無書店自治体が51.3%と多くなっているのです(※古書店・ブックカフェなどを除く 出版文化産業振興財団(JPIC)調べ)。奈良の書店事情に詳しい専門家は奈良特有の事情があるといいます。 (奈良県書店商業組合 林田芳幸理事長)「奈良県の書店はご家族で経営されているところが多くて、そこでの柱は教科書の販売となっています。生徒数の減少により、学校の統廃合が行われることによって、その学校に教科書を卸せなくなり、書店の経営が厳しくなったと」 しかし、問題はそれだけではありません。奈良市内で書店について聞くと… (奈良県民)「どこに住んでいるかによると思うんですけど、全然不便に感じたことはないです」 (奈良県民)「書店が少ないわけではないと感じます。近所にもあるので、全然そこは十分かなと思います」 町の書店が減っている実感がない人が多く、“本屋さんで本と出会う”という文化が廃れているのです。
シェア型&無人の書店「ここに来たらびっくりするくらい買いたい本がある」
そんな中、奈良で新しい書店のカタチを実現するお店もあります。やってきたのは「ふうせんかずら」。 (ふうせんかずら 竹本すみれ店長)「シェア型と無人書店というスタイルの店になります」 店員が一人もいない「無人書店」です。店に入るには事前に会員登録をして取得した専用IDを入力(※登録不要の仮IDでも入店可)。 会計は客自らが計算して、キャッシュレスで支払います。 (ふうせんかずら 竹本すみれ店長)「スタッフの目線がない分、本と向き合う時間をすごく、皆さん楽しんでいただいています」 さらにもうひとつの特徴が「シェア型」。棚には絵本やミステリー小説に、昔懐かしの少女漫画など個性豊かな本が並んでいます。というのも、本を置いているのは約60組の出店者。“書店をシェア”しているのです。 出店者の1人、法隆寺でガイドをする女性は、法隆寺に関する本を中心に並べています。 (いかるが図録 豊川ひろこさん)「やはりジャンルが偏っているので、最初はどうかなと思っていましたが、たまに来たときに好きな方が3冊とかごそっと買ってくださることがあって、もちろん買った方のお顔はわからないんですけど。私の好きな本が誰か興味のある方のところに行ったんだな、とわかるのですごく楽しいです」 無人でシェア型。これまでにない新しい書店のスタイルが、本好きの心をつかんでいるようです。 (お客さん)「ここに来たらびっくりするくらい買いたい本があって。趣味がドンピシャの棚が3つくらいあったんです」 (ふうせんかずら 竹本すみれ店長)「本を介した出会いや交流をこれからも生み出せる書店で居続けたいと思ってます」