4~6月期に「大幅減益決算を連発」した証券業界の深刻事情
7月末からスタートした証券会社の決算発表では、営業赤字となった企業も珍しくない(イメージ写真:yamahide/PIXTA)
「想定以上に厳しい環境で、非常に苦しい決算となった。回復の見通しも今のところ立っていない」――。ある中堅証券の幹部はこうつぶやいて肩を落とした。 8月15日にネット証券大手のSBIホールディングス(8473)が四半期決算を発表したことで、証券各社の決算が出そろった。個社ごとにそれぞれ事情は異なるものの、主要な上場している証券系グループ15社のうち、前年同期比の経常(税引前)利益ベースでは全社が減益、5社が営業赤字に転落するなど、非常に厳しい結果となった。 例えば、野村ホールディングス(8604)は前2022年3月期第1四半期(4~6月期)の税引前利益785億3300万円から、今期は117億3300万円まで85.1%減少。純利益はわずか16億9600万円(前年同期比96.5%減)だった。大和証券グループ本社(8601)も同様で、前年同期に349億2200万円あった経常利益は、180億8500万円まで48.2%減少した。 SBIの税引前利益は235億2200万円(前年同期は330億2900万円)、純損益では23億6000万円の赤字(前期は289億5800万円の黒字)に転落した。個社それぞれに事情はあるものの、証券各社の収益がここまで悪化している背景には、各社に通底する短期と長期それぞれの要因がある。
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梅垣 勇人