島根1区 3候補せめぎ合い 自民惨敗の補選経て構図変化【2024衆院選】
27日投開票の衆院選で島根1区の争いが激しさを増している。与野党一騎打ちとなった4月の補欠選挙で、自民党は「政治とカネ」の問題で逆風を受けて惨敗。この選挙区で初めて立憲民主党に議席を明け渡した。半年後の今回、共産党も候補者を立て構図は一変した。公示後初の週末となった19日、候補者3人はそれぞれ街頭に繰り出し、訴えを響かせた。 【衆院選2024】<1>よく分かる衆院選 衆院選のキホン 「補選だけでなく本選で勝たないといけない。なんとか、また勝たせていただきたい」。立憲民主党前職の亀井亜紀子氏(59)は雨の降り続く松江市のスーパー前で声を張り上げ、疲弊する地方経済の活性化や中小企業の支援を訴えた。 一緒にマイクを握った県議は「政治とカネの問題はこの半年、何も変わっていない」と訴え、自民党派閥の裏金事件への批判を強めた。 半年前の補選は長年、自民党の議席を守ってきた細田博之元衆院議長の死去に伴うものだった。細田氏は裏金事件の発端となった安倍派の元会長。有権者の中に事件への批判が強まる中、亀井氏は自民党の新人候補に2万4千票余りの差をつけて圧勝した。 ただ、亀井氏の陣営は今、自民党への逆風を冷静にみる。幹部の一人は「補選で自民の『みそぎ』が終わったとの受け止めが有権者にある。前回は投票に行かなかった自民支持者が動く可能性がある」と警戒する。 議席奪還を狙う自民党。党比例代表中国ブロック前職の高階恵美子氏(60)もこの日、松江市の集会施設前に立ち「非常に厳しい選挙。助けてほしい」と呼びかけ、地域保健や社会保障の充実を訴えた。応援に来た参院議員は「与党でなければ、声を中央へ伝えられない」と強調した。 高階氏は政治とカネの問題への批判も意識し、場所によっては「不断の改革」を訴えている。 党県連は補選の敗戦後、衆参両院で議員経験のある高階氏を即戦力として選んだ。だが、立候補表明は9月にずれ込んだ。陣営は知名度不足が課題とみて、隣の島根2区の議員秘書たちの応援も受け、浸透を急ぐ。 与野党一騎打ちとなった補選と異なるのは今回、共産党が候補者を擁立したことだ。 党新人の村穂江利子氏(56)も松江市のスーパー前で街頭演説した。12月の再稼働を見込む中国電力島根原発2号機に触れ「再稼働を中止させる。原発ゼロを訴える1区唯一の候補」と、自民党や立憲民主党の候補者との違いを強調した。 共産党が1区に候補者を出すのは2014年以来10年ぶり。補選を含む過去3回の衆院選は候補者擁立を見送り、事実上、他の野党に協力してきた。14年の衆院選で共産党の候補者が獲得したのは1万7千票余り。この票の行方も焦点となっている。
中国新聞社