笑顔を生む震災のがれき―子供たちが作るアート作品
東日本大震災から2年。「被災地についての報道が少なくなっている。いまも目を向けていてほしい」と話すのは、宮城県石巻市のアーティスト犬飼ともさん(34)。かつて避難所にいた子供たちが「がれき」で作ったオブジェを各地で展示する活動を続けている 犬飼さんは、山形県内で流木などの廃材を使った芸術活動をしていた。震災後の2011年4月、「希望の光を作りたい」と、子供と遊ぶボランティアとして石巻市立渡波(わたのは)小学校へ向かった。その一環として、校庭に流れ着いた「がれき」でオブジェを作るワークショップを小中学生に向けに開いた。
普通は左右対称にするなど統一感を持たせた作品を作りがちだが、子供たちは右手が木、左手がスプーンにするなど、自由にオブジェを作った。どれもかわいらしいカラフルなオブジェばかりで、悲しい出来事があった「がれき」から作ったとは思えない。プラスチックのざる、おたま、折れた傘の柄を使ったギターを弾く人形は、黄緑やピンク、黄色などの色づかいがポップでのんきな雰囲気の作品に仕上がっている。 「ものがない環境にいた子供たちの発想力はとても豊かでした」と犬飼さん。アイデアが途絶えること無く、一日中オブジェの制作に没頭した小学生もいたことに驚いたという。 これらのオブジェは、見に来た人から「笑顔をもらいました」と評判になり、山形県内をはじめ、東京都内など日本各地約20カ所で展示してきた。 その活動は、海外からも認められ、2012年3月25日から約一カ月間、イタリアにあるザガローロ市立おもちゃ博物館で「がれき」アートの展示会を開催するまでになった。 犬飼さんは「今後も各地で展覧会を開き、被災地の情報に触れる機会を増やしたい」と意気込んでいる。 (取材協力:READYFOR?)