人気スニーカー系YouTuberの“福袋炎上騒動”から1年半「手元に残ったのは300円…」仲間の存在が心の支えに
日本はスニーカーの返品が圧倒的に多い
もともとはタイの大学を卒業後、Airbnbの物件管理を手がける会社を起業したケンジさん。あるとき、自宅近くのスニーカーリセールショップの動画をYouTubeに上げたところ、再生数が予想以上に伸びたのがきっかけにスニーカー系YouTuberを志すように。 現在は活動の軸足を海外に置いてスニーカービジネスを行っているという。フィリピン、タイ、アメリカ、ロンドンなどで事業を展開しているそうだが、日本と海外におけるスニーカー市場の決定的な違いは何なのか。 「海外に比べて、日本は圧倒的に返品が多いと言われています。日本人は細かいというか、独特の美意識を持っており、配送時点で生じたほんの些細な汚れも指摘するなど、行き過ぎた“こだわり”が逆に日本のスニーカー市場が成長していく際の足かせになっているのではと考えています。ちなみに、僕がネットで炎上したことを海外の人に伝えると『クール』と言ってくれるんですよ。アメリカとかは“やったもん勝ち”の世界で、『目立つということは実力があること』だと見てくれるのも、日本と海外の炎上に対する捉え方の違いを感じました」
「リアルで会ったことのない人の意見は信じない」
炎上を乗り越えてわかったのは「直接的に被害に遭っていない人たちからの誹謗中傷が相次ぎ、気に入らないことは“叩く”ネットの習性を知れた」ことだったとケンジさんは言う。 「2022年の時期は、僕がスニーカーセレクトショップ『atmos』のYouTubeにも出演していたりと、界隈では有名だったことに対し、不平不満に思っていた人が、炎上を機に袋叩きにしたかもしれない。ネットには善良の人もいれば、陰湿な人もいるわけで、後者が中心となって炎上に便乗し、心ない言葉を浴びせてきたのだと思います。こうした経験から、自分とリアルで会ったことのない人の意見は、全く信じないようにするのが大事だと学ぶことができました」
3億円あれば日本のスニーカー市場は動かせる
今後もインドや中東など、スニーカー市場が未開拓な国も含め、海外でのスニーカービジネスに注力する一方で、世界最大級のスニーカーの祭典「スニーカーコン」を日本で盛り上げていきたいとケンジさんは語る。 「活動自粛中に海外へ渡り、いろんなご縁を経てスニーカーコンを主催するボスと知り合い、『ぜひ日本でも開催してほしい』と言われたことから、スニーカーコンの誘致をサポートしてきました。1月の名古屋、4月の福岡に続き、8月には東京の開催も決定しているので、そこに向けて準備を進めていきたい」 また、ケンジさんは「日本のスニーカー市場を動かせるくらいの影響力を持ちたい」と付け加える。 「スニーカービジネスはお金を回して金券を買っているようなものなので、資金力が生命線になります。そのため、銀行からの融資などの資金調達を行い、キャッシュを増やしていきたいとは思っています。僕の感覚的に『3億あれば日本のスニーカー市場は動かせる』と予測しており、これからもスニーカービジネスの可能性をもっと追求していきたいですね」 ケンジさんは「スニーカーは世界共通のコミュニケーションツールのひとつ」だと述べる。スニーカーへの「情熱」があったからこそ、炎上から立ち直ることができたのではないだろうか。 <取材・文・撮影/古田島大介> 【古田島大介】 1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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