東北では冬になると、地面から「お湯」が出るって本当ですか? ガス代などはどうなっているのでしょうか?
東北など寒い地域では、冬になると道路からお湯のようなものが出ていることがあります。実際にはお湯ではなく多くの場合は水で、路面から噴水状に出ているのが一般的です。一体、これにはどういった意味があるのでしょうか。 今回は、寒い地域の路面などに見られる噴水の目的や、それにかかる水道光熱費などについて解説していきます。
噴水の正体は「消雪(しょうせつ)パイプ」
先述した通り、東北などでは冬になると路面から噴水状に水が出ている地域があります。これは「消雪(しょうせつ)パイプ」と呼ばれるもので、雪が路面に積もって凍結するのを防ぐための装置です。本来であれば、雪が路面に積もったときは雪かきをしなければなりません。 しかし、雪の量が多ければ除雪をして山積みになった雪の置き場所を考える必要が出てきます。そこで、これまでの除雪に代わって取り入れられたのが消雪パイプです。 消雪パイプは、散水することで雪を溶かし、路面に積もるのを防ぐ仕組みになっています。道路には散水管とノズルが埋設されており、地下水を利用して散水します。地下水がそのまま利用されており、お湯が出ているわけではありません。 地下水は、冬季でも温度が雪よりも高いため、温度差を利用して溶かしていきます。ガスなどで沸かすこともなく、自然のままで雪を溶かせるというわけです。 なお、消雪パイプのほとんどに降雪感知器がつけられており、雪が降れば自動的に散水する仕組みになっています。人が操作をする必要がないため、深夜や早朝でも路面の凍結を防ぐことが可能です。
消雪パイプにかかる水道光熱費は?
消雪パイプは、地下水を活用しているために水道料金はかかりません。地域によっては河川水を利用することもありますが、いずれも水道料金がかからない方法が取られています。 一般家庭でも消雪パイプの設置は可能で、その場合も水道料金が不要の井戸水を利用するのが一般的です。そのため、かかるのは装置を稼働させるための電気代と設置にともなう初期費用のみとなっています。では、参考として一般家庭の場合の初期費用と電気代を見ていきましょう。 戸建て住宅の敷地に井戸を掘って設備をつける費用は、75~200万円ほどです。電気代は、1時間13円程度で約4tの雪を溶かすことができます。年間にすると、2000~3000円ほどの電気代しかかかりません。 また、消雪パイプの設備費用や月々の電気料金を補助してくれる地域もあります。一般道路や公共施設の地面となると、費用は税金でまかなわれるケースなど状況に応じてさまざまです。例えば、町内で設備を設置した場合は町内の住民で出し合うという形になりますし、公共の場所の場合、どこの管轄になるかで費用負担は変わってきます。
冬に地面から出ているのは、お湯ではなく融雪用の水が出ている
東北など雪が多い地域では、冬になると雪を溶かす目的で路面に散水を行います。「消雪パイプ」と呼ばれる装置で、雪よりも温度が高い地下水をくみ上げて雪を溶かすため、お湯を沸かすガス代や電気代はかかりません。地下水を活用しているので水道料金も不要です。初期費用はかかりますが、わずかな電気代だけで雪が積もらないよう工夫がされています。 出典 国土交通省 消雪パイプ 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部