「スカウト型」の就活 大学が企業を厳選、学生からは「安心」の声
優良企業を大学が厳選
キャリナビScout!の登録企業は、「企業と大学が連携して、社会に貢献できる人材を送り出す」という大学側の趣旨に賛同し、創価大生の採用や育成に積極的に協力している企業のみで、いずれも給与や福利厚生、離職率など大学が設定した複数の基準をクリアした「優良企業」です。 「何をもって優良とするかは人それぞれですが、労働条件について一定の基準を満たしていることが大学によって確認されているということは、学生にとって安心材料になります。学生が自力では見つけ出せないであろう企業と、めぐり合う可能性も高まります。学生は知名度や規模で企業を選びがちですが、中小企業でも業績がよくて働きやすく、従業員の満足度が高い企業はたくさんあります」
双方向からアプローチ
学生はキャリナビScout!のサイトに、プロフィルやサークル活動、取得資格などの情報と、写真や動画を登録します。一方、企業は会社概要や求人情報を登録します。双方から登録情報が見えるほか、企業側は学部学科などで学生を検索できるようになっています。 「24年卒と25年卒合わせて、登録している106社中55社から学生が内定をもらうことができました(24年7月31日現在)。これには他のサービスを利用したケースも含まれますが、企業からは、『求める学生をピンポイントで検索して直接コンタクトが取れるので、ミスマッチが少ない』という声が寄せられています。一方の学生からは、『大学が厳選した企業なので安心』といった声が多く寄せられ、保護者からの評価も高いです」 リクルート就職みらい研究所の先の調査によれば、スカウト型を利用した24年3月卒の学生からは、「知らなかった企業に出会えた」「内定につながりやすいと感じた」といった声が多く挙がっています。 創価大学の例のように、学生がやりたい仕事を見つけ、入社後も自分に合った働き方ができるよう、大学はさまざまな取り組みを行っています。 昭和女子大学には、社会で活躍する女性たちから話を聞ける「社会人メンター制度」があり、結婚や子育てというライフイベントも含めたキャリアプランをより具体的に描くことができるようにサポートしています。制度を利用した学生の中には、「自分自身が働く姿を想像できるようになったことで、自分がどんな人間なのかを考えるきっかけにもなったし、志望理由や就職後の目標を明確にすることもできました」と言う人もいます。 甲南女子大学が力を入れているのは、社会に出てから役立つ「全員発揮型のリーダーシップ教育」です。ここでいう「リーダーシップ」とは、チームを引っ張る力ではなく、チームの目標達成のためにほかのメンバーに与える影響力のことを指します。グループワークを通してそれぞれが自分なりの強みを見つけるプログラムを行っており、就活でも一定の効果を上げています。 産業能率大学では、1年次からキャリア科目を必修にしているほか、3年次からは学生1人にゼミの教員とキャリアセンターの職員各1人がつき、内定が出るまで並走する形で支える仕組みを作っています。 大学のキャリアに関する取り組みは実に多様です。就活面でどのようなサポートを行っているか、大学選びの際に調べてみるといいでしょう。
朝日新聞Thinkキャンパス