親の死後に実家を相続した後で、出てきた「掛け軸」を鑑定したら「300万円」の値が付きましたが、これって税金かかりますか?
実家を相続した後、思いもよらないところから骨とう品が出てくることや、ゴミだと思っていた骨とう品が実は高価だったと発覚することがあるようです。もし、そういったものが出てきた場合、税関係はどうなるのでしょうか。 300万円の掛け軸が出てきたという事例を基に、考えていきます。 ▼実家の物置で「鳳凰」の描かれた100円玉を発見! 昔のお金は今も使える? 高く売れる場合もあるの?
相続税のかかる財産の範囲を確認
まずは、相続税のかかる財産の範囲を確認していきましょう。この点は非常にシンプルです。基本的に相続人となる方は死亡した人の財産を全て引き継ぐことになります。そのため、その全てが「相続税のかかる財産」となるわけです。 ここでいう「財産」とは、現金や有価証券、宝石や土地など、分かりやすく価値のあるものだけではありません。金銭に見積もることができるもの全てが「財産」となります。そのため、骨とう品や掛け軸であっても、それが価値のあるものであれば、財産として相続税がかかります。そのため、300万円の掛け軸は、相続税の対象となる、れっきとした「財産」です。
300万円の掛け軸に、必ずしも相続税が課税されるとは限らない
「相続によって財産を得た」という話はよく聞く反面、「相続税を払った」ということを聞く機会は少ないと思いませんか? それもそのはずです。相続税には「基礎控除」というものがあるからです。相続税における「基礎控除」とは、給与に対する給与所得控除のようなもので、その範囲内にあれば相続税がかかりません。 基礎控除の額は、3000万円+(600万円×法定相続人の数)となっています。つまり、少なくとも3600万円までは相続税がかからないのです。要は、300万円の掛け軸が出てきたとしても、相続税の総額が基礎控除の額を超えなければ相続税はかからない、というわけです。 ※出典:国税庁「No4152 相続税の計算」 仮に相続人が母と自分と妹の3人であった場合、4800万円までは相続税がかかりません。そして、相続財産がもともと2500万円だったとしましょう。このケースにおいて、300万円の価値がある掛け軸が見つかった場合、相続財産の総額は2800万円です。この額は基礎控除4800万円の範囲内であり、相続税がかかりません。 これで、相続の話を聞くわりに「相続税を払った」という話を聞くことが少ないのも、納得できたでしょう。