【スワンS回顧】タフな消耗戦で力示したダノンマッキンリー 欧州血統由来の底力、モーリスの血がみせるスケール感
ウインカーネリアンとアグリがつくったサバイバルレース
重賞ウイナー10頭。GⅡ格らしくメンバーの顔触れはそれなりではあったが、なにせ近走が冴えない馬が多かった。今年に入って重賞を制したのは3歳ダノンマッキンリー、オフトレイル、ノーブルロジャーだけ。結果的に1、2、4着に入ったので、近況の差が出た印象がある。3歳が強かったというより、古馬陣が伸びあぐねたレースだったといえる。 【天皇賞(秋)2024 推奨馬】勝率50%&複勝率90%の鉄板データに該当! 実力と爆発力はメンバーNo.1(SPAIA) とはいえ、レースを引っ張り、GⅡにふさわしい力勝負に持ち込んだのは逃げたウインカーネリアンと2番手から競りかけたアグリの古馬重賞ウイナーだった。先手を奪ったウインカーネリアンに対し、各馬チャンスありと色気を出して追いかけてきたため、先行集団は大きな塊になった。 互いにプレッシャーをかけ合うことで、前半600m34.0は強烈とまではいかないものの、その後も息を入れにくい緊迫感ある流れになった。あくまで強気に押し切りを狙ったウインカーネリアンがサバイバル戦に持ち込み、力なき馬から脱落していくなか、ついてきたのはアグリ。かつて阪急杯を制し、高松宮記念3番人気だった実力馬が残り200mまでウインカーネリアンに食い下がったことで、互いに苦しくなり、最後に追い込みを誘発した。 ダノンマッキンリーは発汗が目立ち、速い流れであっても後方で行きたがるほど消耗もあったはずだが、最後まで伸びきれた。荒削りな面は否めないものの、1400mだと最後までしっかり脚を使える。距離巧者として、この先も続く1400m重賞で楽しめそうだ。 本馬はモーリス産駒ながら通算【4-0-0-5】とあと一歩足りない惜敗タイプではなく、いささか極端な成績の持ち主。母ホームカミングクイーンはアイルランド産で英1000ギニーの勝ち馬。兄にアイリッシュダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS、凱旋門賞を勝ったGⅠ6勝馬ディラントーマスがいる。欧州の名牝系らしく、底力に長ける血統だ。 これに晩成のモーリスだから、荒削りでも結果を残せたのは大きい。精神的にどっしりしてくれば、活躍は1400mにとどまらないだろう。藤原英昭厩舎にはエイシンフラッシュなど息長く走らせる手腕がある。ダノンマッキンリーも丹念に育て、スケール感あふれる馬になってほしい。