サッポロ「黒ラベル」躍進、10年で20代購入6割増 ビール離れの若者に各社訴求
■各社も販売伸ばす
各社の1~11月の販売量を前年同期比で見ると、サントリーは好調な昨年4月発売の「サントリー生ビール」が牽引(けんいん)して従来のビール全体で4%増、アサヒビールは「スーパードライ」系がトータルで1%増。体験拠点の展開や人気芸能人を投入したテレビCMなどで若者らへの訴求を図る。
一方、キリンビールは今年4月に発売した新ブランド「晴れ風」がヒット。上方修正を経た年間販売目標550万ケースも今月16日に達成した。黒ラベルとは対照的な酸味や苦みを抑えた飲みやすさ、華やかなテレビCMが印象的だ。特に若年層からは、購入すると地域のサクラや花火大会の保全に寄付できる仕組みも共感を得ている。同社アンケートでは、購入理由を「桜の風物詩を支援できるから」と答えた割合は20~30代が最多の18%だったという。
マーケティングに詳しい青山学院大の久保田進彦教授は「各社によるデータを突き詰めたマーケティングの結果、消費者が各商品の味に差を感じづらくなってきており、商品の印象がより大切になってきた」と指摘。黒ラベルや晴れ風について「『大人の自分』や『社会に貢献する自分』といった、なりたい自分に近づけるツールとなり、これが若者の共鳴を生み出したのでは」と分析している。(福田涼太郎)