帽子のつばには「頑張りどころ」と記している北九州の谷元（撮影・杉浦　友樹）

　◇高校野球福岡大会2回戦　北九州4―0玄界（2024年6月29日　北九州市民） 　戦国模様が予想される福岡大会が開幕した。北九州の背番号10、谷元魁斗投手（3年）は2日前に開幕戦の先発を告げられた。試合前はチームメートの中で一番緊張していたと振り返る。「おまえやったらいける」などとチームメートから鼓舞されて開幕戦のマウンドに立った。 　1メートル78の長身右腕は110キロ台の直球やスローカーブも駆使しながらスコアボードに0を並べた。ハイライトは1点リードの6回1死二塁。安打性の打球をつかんで一塁に投げた際に左肩を脱臼して二塁の塚本が負傷交代。5人と少ない同じ3年生の姿に「めちゃくちゃいいプレーだった。ここで頑張る」とギアチェンジ。後続を抑えた。7回4安打無失点の好投だった。 　帽子の力も大きかった。つばには「頑張りどころ」と記している。ピンチの場面でもうひと踏ん張りしてほしい―という思いを込めてクラスメートが書いてくれたという。間違って書いてしまった影響で「頑張ろどころ」になっているのはご愛敬だ。谷元は「そのおかげでもあります」と感謝していた。 　楽天・渡辺翔の母校でお金を一部寄贈してくれて購入したマイクロバスを野球部では大事にしている。谷元は「もっと頑張れます」と励みにしていた。