23人の表現者が輝くステージとパフォーマンス BMSGの理念を証明した一夜
多様なアーティストたちが支えるBMSGの世界
後半戦の一発目を任されたのはLEO(BE:FIRST)。BE:FIRSTは、「One Of The BE:ST」と題して各メンバーのソロ楽曲をリリースする企画を行っているが、第一弾のJUNONに続いて次はLEOに決定。『BMSG FES’24』で初披露された“I just wanna be myself”は、R&B、ファンク、モータウンを含んだポップソングで、「自分の好きなように生きよう」とLEOらしいメッセージが込められた楽曲となっている。歌を終えて、MCを挟み、「あれ? 浮いてるやついるな……?」というLEOからのパスを受け取ったのはedhiii boiだ。PAエリアで座っているedhiii boiがスクリーンに映り、“Uiteru”を歌い始めた。マイクを握りながら客席を歩き、途中でオーディエンスにステッカーを手渡し、ステージへと向かう。「飛び跳ねろ!」と叫び、ビートに合わせて自分も飛び跳ねながらステージの端から端までエネルギッシュに駆ける。《俺は無敵レベチ日本の歴史を変える為/叫ぶんだ 死ぬまで》というリリックが大袈裟ではないくらい、オーディエンスもカメラも音もすべて自分の掌の上でコントールしているかのようなスター性を発揮していた。自分の音楽が鳴っている瞬間は無敵状態になる、edhiii boi。「3年後、俺が二十歳になった頃、時代の先端にいてやるよ!」とシャウトしてから見せつけた”GALAXY“のパフォーマンスも、「自分からは媚びず、みんなを自分に惹きつける」という精神性が形となっていて、その言葉に強い説得力が帯びるほどだった。 そのあとは、BE:FIRSTの最新アルバム『2:BE』に収録されているユニット曲のひとつ、SHUNTOとRYUHEIによる“Metamorphose”を初披露。この2人は、BE:FIRSTを輩出したBMSG初のオーディション『THE FIRST』の審査の一環で「96Black」としてオリジナル曲を発表しており、ファンにとっては待望だった。当時から長い手足を活かした色気の漂うアーティスティックな表現で注目を集めたが、当然表現力に磨きがかかっている状態での2人の融合に、2万人が息を呑んだシーンだった。『THE FIRST』に参加した時、RYUHEIはまだ14歳だったのだ――そんなことを、次の“14th Syndrome”で思い出す。SKY-HI、edhiii boi、RUI、TAIKIが音源に参加している“14th Syndrome”に、昨年同様KANONがジョインし、新たにRYUHEIの歌とラップも加わって、BMSGの同世代が集結した“14th Syndrome”が完成した。 最年少メンバーたちに混ざってステージ上を走り回ったボス、SKY-HI。「みんなが知的に、立派に、自分自身も人のことも尊重して大きくなっていて、君たちみたいな若い才能が育っていくところを隣で見られることが、どんな実績・数字といわれるものよりも嬉しい」と、4人に感謝を込めながらSKY-HIにとっての「幸せ」の真髄について語ってから、ここでビッグニュースを告げる。2025年、BMSGとして3つ目のボーイズグループを誕生させるオーディションプログラム『THE LAST PIECE』の開催を発表。「シビアなときもあるかもしれないし、つらいときもあるかもしれないけど、絶対にずっとそばにいるので、一緒に乗り越えて勝ち取りましょう」と、RUI、TAIKI、KANONにエールを送った。そして、RUI、TAIKI、KANONは、ポケモンアニメ「POKÉTOON」新シリーズとのタイアップが決定している“Forked Road”を披露。「僕たちで必ず世界を獲りたいと思ってます」と歌唱前に言葉を残したTAIKIは『THE FIRST』参加時から自身の強い意思を乗せたラップが印象的だったが、それをさらに強固なものにし、KANONは懐の大きい歌を、RUIは遠くまで届く声を響かせながら、3人ならではの世界観を作り上げた。 その後、MANATO、SOTA、Aile The ShotaによるShowMinorSavageが先輩の貫禄を見せつける。R&BとHIPHOPを心の底から愛する3人による“Thinkin’ bout you”、“Ocean”は極上だ。そしてSOTAとMANATOのダンスブレイクを挟んで、BE:FIRSTのステージへ。 まずは“Mainstream”。フック前のRYUHEIの《based》で大歓声が上がることもそうだが、2万人の歓声をコントロールしてみせるかのようなパフォーマンスだ。しかし、「緻密さ」だけでは語れないのがBE:FIRST。“Boom Boom Back”ではアドリブを挟み、“Blissful”ではSHUNTOやRYUHEIの笑い声が混じるほど、ステージをプレイグラウンドに変えて自ら楽しみ尽くす姿に、気がつけば巻き込まれている。 最後はボス、SKY-HIの登場だ。まずは今日までの物語を伝えるように、“タイトル未定”。アイドルとして生きるようになった14歳の頃からの経験を振り返り、居場所がなかった自分が、数少ない先輩たちからの愛を抱えながらどうにかサバイブし、かつての自分や業界から去ってしまった仲間のように既存のジャンルや枠組みの中で認められない若き才能を救うため、ヒップホップの基本である「Do it yourself」の精神性で1億を資本金に事務所を興し、『BMSG FES’24』の開催と「自分と仲間の幸せ」という立派な成功にたどり着いた――そんなライフストーリーを音楽で表現する。“何様”は、音源ではぼくのりりっくのぼうよみが歌っているパートを、この日はなんとEIKIが歌唱。さらに“Turn Up”でボスとしてのスキルとサクセスへの揺るぎない意志を見せつけて、BE:FIRSTを迎えて“To The First”へ。BMSGが始まるまでのストーリーを4曲に凝縮して描き切り、最後には「ある日、気づいたんだよね。俺がこれだけもどかしいな、つらいな、嫌だなって思う気持ちをいっぱいしてるのって、同じような気持ちをしてるやつと出会って、そいつの人生をよくするためなんじゃないかなって。そう思ってやったのが『THE FIRST』で、その結果、出会えたのがみんなで、今隣にいるのがBE:FIRSTで。俺は心から嬉しいです」と素直な言葉をこぼす。そして「こうやって社長に居場所を作ったのは僕たちだけではなくて、あなた一人ひとりです」と、オーディエンスにも語りかけるLEO。 「最後はぶっとぶくらい踊って遊ぼうぜ」と、23人全員で“D.U.N.K.”。サイファー状態で、トップに踊り出たのはTAIKI。LEOとAile The Shotaは野球ボールを使って魅せて、Novel Coreは“Mainstream”の振りを取り入れる。SOTAとSEITOのコラボレーションには会場が大いに湧いて、SEITOのブレイキンには「やばっ!」「まじか!」の声まであがる。ラストは“Brave Generation -United Remix-”に、23人全員分のパートを加えたバージョンを披露。歌い始める前、BMSG設立前は孤独に戦っていたNovel Coreが「俺にこんなにたくさん仲間を作ってくれてありがとうございます」とSKY-HIへと伝えて、二人は肩を叩き合った。 『BMSG FES’24』は、社長であり全体プロデューサーであるSKY-HIが、BMSGに所属する22人の仲間たちの才能を輝かせたショーだった。これまでも「クオリティファースト」「クリエティブファースト」「アーティシズムファースト」で音楽作品を作り上げ、「人生ファースト」でアーティストが幸せに人生を送れる環境を守り抜いてきたBMSG。この先も、進化は続く。そして、23人の物語もまだまだ続く。
Yukako Yajima