【超RIZIN】鈴木千裕の怪我とパッキャオ戦について「試合前から痛めていたので…」(山口代表)──安保と木村が代役に名乗り
2024年6月23日の『KNOCK OUT CARNIVAL 2024 SUPER BOUT“BLAZE”』(U-NEXT配信)で、五味隆典と引き分けた鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)の次戦、『超RIZIN.3』(7月28日・さいたまスーパーアリーナ)でのマニー・パッキャオ(フィリピン)戦に暗雲が立ち込めている。 【写真】五味戦の最終Rで左を突く鈴木 24日の一夜明け会見を欠席した鈴木は、病院で精密検査。鈴木が所属するクロスポイント吉祥寺の山口元気代表は、本誌の取材に「練習はまだ再開出来ていないです。詳しい検査結果は26日には出ますが、試合前から痛めていたのでどうかな……」とパッキャオ戦の見通しが立っていないことを明かした。 『KNOCK OUT』代々木大会では、パンチのみのルールで、ジャッジ3者が29-29をつけるドロー。後半では左前手のフックを多用した鈴木に、右拳の状態が不安視されていたが、山口代表は、「千裕の強味はパンチだというけれど、パンチじゃないんですよね。三日月蹴りがあったり、レスリングがあったりのトータルしてのパンチの強さなので。ボクシングだけだとまだまだ勉強する余地がありますね。五味選手は体重もあってパンチをもらっちゃいけない、それで千裕は入れなかった。スイッチファイターでやりづらかったのもあると思います」と、ボクシングルールで持ち味を発揮できなかった理由を説明していた。 また、25日の本誌の取材に、「前の試合(4月29日『RIZIN.46』金原正徳戦)でも満足に打てない状況だったけど、打っちゃってさらに痛めて。『パッキャオ戦は多分無理だと思いますよ』と、RIZINさんには話していました。試合前から痛めていたので、(パッキャオ戦は)厳しいかな……」と、1カ月後の連戦が厳しい状況にあることを語っている。 試合後の会見でも山口代表は、「本人がどう思っているのか分かりませんが、MMAとキックボクシングをやった方がいい。まだ若いし、こらからさらにMMAの実績を積み上げたときに、真のスーパーファイトで、パッキャオとやれる立場になれるその時まで慌てないほうがいいんじゃないかな。(8オンスグローブは?)ますますやめた方がいいかもしれない。でも本人が決めることなので……」と、やめさせたいが鈴木本人の意思を尊重したい思いもあり、複雑な心境を明かしていた。 ◆オーバーワークも懸念、王者・鈴木千裕の首を狙う者たち 連戦の鈴木を巡る状況はシビアだ。 五味とパッキャオとのボクシング戦のほか、MMAでは斎藤裕、フアン・アーチュレッタに連続一本勝ちの前フェザー級王者クレベル・コイケからの対戦要求、2023年7月に緊急参戦で鈴木にKO負けしたBellator王者パトリシオ・ピットブルからもリベンジマッチを要求されている。 また、RIZINが提携するKSWのライト級&フェザー級二階級王者サラーディン・パルナスも鈴木との対戦を呼び掛けるなど、現RIIZNフェザー級王者の首を狙う者は順番待ちとなっている。 そんななか鈴木は、MMAやキックの練習のみならず、ボクシングトレーナーとの練習、フィジカル練習も入り、1日に3部練・4部練習もこなすことでオーバーワークが懸念されていた。 五味戦後、パッキャオ戦に向けて課題を残した内容になったことを問われた鈴木は、「だからいいのかなと思う。課題は分かった。手数が足りない。突進だけではダメ。同じミスは踏まない。パッキャオを倒すために必要なことを学んだのでそれを全力で突き詰める。 この試合を見て誰も勝てないと思うだろうけれどそれでいい。練習して覚悟を決めて欠点を埋めて、勝負自体を変えるパワーをつけて来るので、一から作り直しです。自分のダメなところがよく分かったので。失敗を糧にして強くならないといけない。“稲妻メンタル”と言われているけれど、まだまだ足りない。もっともっと練習して生まれ変わった鈴木千裕を来月見せるので期待してください」と、気丈に話したが、その「練習」が出来ないジレンマの渦中にいる。 山口代表は会見で、「パッキャオ戦は無理じゃないですか。本人は『やりたい』と言ったんですが、僕は気が進まなかった。拳を痛めているし、『パッキャオ戦はキツいんじゃないの』って意見だったので。でも選手はオファーが耳に入ると『やりたい』って言いますから……」と、元選手として、そして選手を育成する指導者として、『超RIZIN.3』でのパッキャオ戦にストップをかけたい意向であることを示している。 そんななか、安保瑠輝也と木村“フィリップ”ミノルがパッキャオ戦に名乗りを挙げるなど、風雲急を告げる展開も考えられる。パッキャオ戦を望む鈴木の怪我の回復は、果たして1カ月後の試合に間に合うのか。RIZINも陣営も、本人も厳しい決断を迫られている。
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